23.森野将彦
そりゃ森野って言えばね、わたしも三回くらい
死ぬんじゃないか
と思いましたよ。
ここまでやったらマズイかな、荒木と井端と同じ感覚でやってましたから私。
そしたら数段、この二人の方が、身体能力と、体力があったんですね。
森野にはそれが無かった。
でも、上手くしようと思って、やってたんです。
でも一つだけルールがありましてね。
自分がもうダメって思うんだったら、
自分で意思表示しろよって。こっちからお前の練習止める事はしないぞ、って。
お前が真剣に上手くなろうと思ってやってるんだから、こっちは絶対邪魔しないから。
自分で言えよ、つって。
始まるときは「はい!」つって。
それが三十分経ち一時間経ちね、一時間半経つと、
その「はい」の「は」が言えないんです。言葉にならない。
で夢遊病者みたいにね、口の中、舌はベローン!と出てくるわヨダレは垂らしてるわね、
これ大丈夫かな、って。
でもそういう思いしてやっと、これでやっと去年の成績ですからね。
まあそろそろ一人前なっただろうからと思って
こっちは目を離して若いの育てようと思ったりする。
でも目を離すをダメなんですね。
自分が見ているようで見てない、見てないようで見てる、この視線が必要なんだろうと。
人間無視されると一番キツイですから。
相手にしてくれない、人が誰も私の事を見てくれない、
これが一番人間に取って苦痛なんです。耐え難いんです。
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「森野はたくましくなったね」
「そうだね」
「いつ頃から急成長したんだろう?」
「2004年の秋キャンプかなあ」」
「2004年のオフか…」
「そういえば
ドアラ人気もその頃からだね」
「そうだね。2005年の交流戦からだね」
「ドアラ、あの頃から急に運動神経よくなったよね」
「身体能力が上がったよね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
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