2−4と日本が2点を追いかける形で迎えた5回裏、先頭打者は鈴木フミヒロ。
世界を相手に大ブレイク中のフミ
が、いかにプロ選手を総動員してるとはいえたかだかアジア・クラスの韓国投手陣に遅れを取るわけがない。
もはや誰も手をつけられないフミは、具なんとか(漢字読めん)のストレートを
世界のジャストミート
でセンターオーバーの2ベースヒットで華麗に出塁、
送りバントと犠牲フライで貴重な3点目のホームを踏んだのだった。
その後韓国に1点取られ3−5とした7回、無死一塁のチャンスで迎えたバッターは鈴木フミ。
「ここは送りバントさせますかねえ」などと解説者が
ぞっとするような冗談
を吐く中、鮮やかなレフト前ヒットでチャンスを広げ、
田口のタイムリーで今度は同点のホームインと縦横無尽に駆けめぐり、
「世界の舞台はあのボーイには狭すぎるぜ!」と世界中の野球ファンの話題を独占中だ。
☆ ☆ ☆ ☆
しかし同点で迎えた9回表、日本は韓国の猛攻の前に大ピンチを迎える。
1死一二塁から松坂の「世界のワイルドピッチ」で1死二三塁となった場面、
バッター・李なんとか(漢字読めん)のゆるいセカンドゴロに3塁ランナー洪なんとか(同)
が猛然と本塁突入、タイミングは完全にセーフだったものの、フミの
中村さん直伝の“世界の卑怯ブロック”
でホームベースを蟻のはいいる隙間もないほどガッチリガード。
タッチしてるかどうかも怪しかった
が、見事なブロックで本塁を死守したのだった。
韓国ベンチは(オリンピックなのに)審判に猛然と抗議したが、聞き入れられず。フミは
中村さん直伝の“オトボケ”
で知らないフリをしていた。
☆ ☆ ☆ ☆
5−5の同点となれば、世界中の注目は
フミの4試合連続勝利打点なるか
だ。そしてチャンスがやってくる。
9回裏、同点。先頭の8番・ヘイマー(本名・平間)がレフト前ヒットでノーアウトのランナーになる。
「9番、キャッチャー、スズゥーキィー・フミヒィーロー!」
心なしか球場のアナウンスも
鈴木郁“ヒーロー”
と呼んでるように聞こえる。さあ!チャンスだフミ!4試合連続の決勝タイムリーを見せてくれ!!
チラリとベンチのサインを見やるフミ。
大田垣監督、送りバントのサイン。
大田垣よ。ああ、大田垣。
お前はフミの出場している中日戦を見たことがあるのか。
送りバント成功よりホームランの方が数が多いフミ
になんてサインを!
いっそ
ホームランのサイン
でも出してくれたほうが!
その頃、日本。
日本でオリンピック中継を見ていたフミヒロのバッティングの師匠・山田和利コーチは、
9回の送りバント失敗に、
「あんなバントをしているようでは…。自分の役回りが分かってない!」
と厳しい視線。
だが、その光景を影でこっそり見ていた藤井が
「お前の指導でああなったんちゃうんか」
と、言ってたかはどうかは清水にでも聞いてみないと分かるまい。
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