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ああ、ああ、私のドラゴンズ

聖地巡礼(8)

98.8.4〜8.6
シャオ会ナゴヤ遠征リポート


1.失踪事件

 居酒屋の次は カラオケ だ。既に体力を使い切りエネルギー残量ゼロとなって一次会の途中で半ば死亡が確認されていた会長とNoboruさんはホテルへ戻り、他の5名はカラオケへ。

 観戦会後のカラオケといえば当然 「選手別応援歌」メドレー大合唱ではなく 、またもや話題の中心は 山崎武司 であるところが、シャオ会における山崎武司の人気者ぶりが伺えるが、というよりはむしろ会長がいなくなった事で リミッターは解除 された。

  「山崎、ガルベスいなくなって寂しいんじゃないかな」
  「来年、 台湾とか で再会したりして」

  「山崎にタイトル取って欲しいですな〜」
  「その気になれば2冠は行けるでしょ。 台湾なら

台湾で頑張る山崎武司

 等、 ここでは書けないような話題 も展開され、山崎や今中の 景気の悪い話 をしていたら気がつけば朝の4時30分になっていた。
 この間、歌った曲は 2時間で3曲


 カラオケを終了、ホテルに戻る。
  「部屋戻ったら会長とNoboruさんがいなかった、なんて事はないですよね?」
  「ハハハ、名古屋市内の路上で凍死体で発見されたりとか?」
  「会長、ショックで横浜に帰っちゃってたりして」
 といった和やかな会話をしつつ、それぞれの部屋に戻った。
 2分後。
 誰かが部屋のドアをドンドンとノックする。ドアをあけると、Naoさんが青ざめた顔で立っていた。

  「…会長、部屋に戻ってないです」


 窓の外でスズメがチチチと鳴いた。


2.味噌煮込みうどんの罠

 3日目。
  会長失踪事件 (*1)から一夜明けた翌朝、ホテルのチェックアウトを済ませ、中日ビルに。最終日の最後を締めるのはナゴヤ名物・ 味噌煮込みうどん だ。

 中日ビルの「味噌煮込みうどん屋」に開店と同時に入り、全員味噌煮込みうどんを注文(*2)。それは、 土鍋 でやって来た。
 もうもうとあがる湯気。湯気の中に顔をうずめてガンガン麺をすする。汗だくだくでメガネも真っ白、流れる汗で土鍋があふれ出ようかというくらいの暑さに耐えながら、懸命にうどんをかき込む。
 そろそろ皆食べ終わろうとかというとき、ふと誰かが言った。
  「おい、周り…」

 周りを見渡すと、いつの間にか満員になった店内では、 我々以外の客全員 が、 土鍋のふたを取り皿 にして、ちょっと冷ましてから食べていた。 我々以外の客全員 が、だ。
  「…みんな、フタで食べてますね」
  「…あれが正式な食べ方なのか…」

 たとえるなら我々は、 日本に初めて来たイタリア人がざるそばをフォークでくるくる巻いて食べていた ようなものか。またもや地元の人間に 一発でオノボリさんと看破 された事が確実な我々は、屈辱と敗北感にまみれながら、この店を出た。


 さようなら、ナゴヤ!またいつかきっと!
 いつの日か俺たちが、味噌煮込みうどんを鍋のふたで食えるほど成長したときに!


3.さらばナゴヤ


 ナゴヤの陽射しが来たときと同じ暑さで照り付ける。

 やがて夏が終わり、秋になる頃は、センイチの胴上げだ。

 俺たちはこの地を去るが、俺たちの を置いていく。

 その瞬間のために。


 といった サッカー日本代表のメンバーから土壇場でハズされた彼 のような ゲンの悪い 思いを胸に、我々は聖地・ナゴヤをあとにした。
 初日の試合を勝利したときに、
  「ついでだから3日目も見て帰りましょうか?」
 という提案もあるにはあったが、 先発予定が門倉と北川 だったためにこのプランは断念する事になった。
 せっかく2連勝したのに最後に イヤな思い出 を持っていく事もない。

 高速で帰る途中、 ossanさんがポルシェにバトルを仕掛ける といった 気合いの入ったハプニング もあったが、海老名PAで神奈川組と東京組は別れの挨拶をし、オレンジ色のジャイカーは横浜へと向かった。
 ラジオをつけると、ちょうど今日の試合が始まる前で、 先発投手 の発表をしていた。
 「ガガ…ガ…中日先発は…門倉…ガガ…ヤクルトは…ガガ…山部…」
  「山部?」

 すかさずelfさんが携帯で東京組に電話をかけた。

  「あー、今日のヤクルト先発、山部だそうです。
  今すぐ引き返しましょう。


 横浜インター出口が見えた。



(*1)会長失踪事件…その後、会長はホテルの別の部屋で寝てるのを発見された。
(*2)全員で味噌煮込みうどんを注文…もちろんBULLYさんはビールもだ。


SPECIAL THANKS TO

Hiyuさん(会長)
ossanさん
Noboruさん
elf-gさん
BULLYさん
Naoさん
山王丸貴彦さん

文責:sato23


<<< THE END


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