|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||
【中日】 ○山本昌-大塚-S岩瀬 【読売】 ●林-真田 |
71試合目に突入したチームから順次に下期ペナントレースをスタートする
「ローリング・スタート方式」
のセリーグ、
中日はこの日、セ3チーム目の「セカンド・シーズン開幕」を迎えた。 開幕投手はやっぱりこの人、頼れるベテラン・山本昌である。 |
|
|||||||||||||||||||||||||||||
沈没する船からネズミが逃げ出すように
次々と離脱していく朝倉・川上ら若手投手陣を尻目に、
今年39歳になるベテランが老体にムチを打っての開幕投手。 息子のように年の離れた読売・林(19歳)との投手戦は両者一歩も譲らず、 このごろは守備で笑いを取ろうとする立浪 が今日も三塁スタメンで味方投手の危機感をあおれば、 谷繁は今日もランナーいるいないに関わらず状況を無視した扇風機となって、 べテラン同士の激しい足の引っ張り合い で味方ピッチャーにはいい緊張感を、若手には悪影響を与える。 「タツもシゲもしょうがないなあ。ようし、俺がやるしかないか!」 と気合の入った山本昌が、8イニングを投げて3安打0失点の好投、 開幕戦にふさわしい投手戦となった。 そして、8回表まで両軍0−0の均衡を崩したのは、やはりこの男。 クセ者(smel-man)・元木だった。 8回裏、1死ランナー一三塁、バッターは井端。 給料が谷繁の半分以下でも谷繁の3倍の技術をもつ井端 は、ここでセオリー通り右打ち。 あいにくのゲッツコースとなるが、しかしここで元木が何を思ったかゴロを捕球後、 フォースアウトになるはずの二塁ベース上に投げず、 一塁ランナーの関川を猛然と走って追いかけ始めたのだ。(!?)
詳しく話を聞かせてくださいよ! 合コンしましょうよ、合コン!!」
|
||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||
1点をリードした中日が、8回まで完封の山本昌を気持ちよくチェンジ、9回のマウンドに大塚を送る。 しかしこの大塚が、ギャラード顔負けの “ゲキジョー” (日本人がクローザーを侮蔑するときに用いる差別擁護) を発動させ、あっという間に1死一二塁のサヨナラのピンチを迎えると、 今季は 「クローザー・リリーバー」という新しいポジションを確立した岩瀬 が登場、打者2人をきっちり撃って獲り、試合をクローズしたのだった。
「だったら最初から岩瀬を出せばいいのに」 「無駄に大塚のプライドを傷つけただけの試合だった」 と一見して思えるが、そうではない。 この継投には、山田監督の深い、深い意図が隠されているのだ。 このところ、抑えのギャラードが精神的に参っている。 5月以降、ギャラードはクローザーとしての仕事をきちんとしているにも関わらず、 ファンはスランプだった4月時のことをいつまでも持ち出し、 「ギャラードは信用できない!」、たとえ無失点に抑えても、 ランナーをたった一人出しただけで、 「また始まったよ!ゲキジョーだ!」 と、(嬉しそうに)ギャラードにブーイングを浴びせたのである。 「オーツカが打たれても何も言われないのに、俺はヒット1本で裏切り者呼ばわりか…」 ギャラードはこのファンによる「ガイジン差別」に、すっかりナーヴァスになっていた。 ときにはメジャーの常識では考えられない「クローザーのイニング途中交代」も経験し、 ボス・ヤマダへの不信感は増大していたのである。 だがしかし。 山田監督には、深い考えがあった。 シーズン直前、大塚を獲ったことで当然予想されたファンによる“ガイジン差別”。 「エディなんてガイジンより、日本人の大塚を使え!」 という声が上がるだろう事は予想できた。そして、実際にそれは起こった。 山田監督があらかじめエディに冷たい仕打ちをしていたのは、そのためだったのだ。 クローザーのプライドを傷つけるふりをして、 後に日本人の大塚にも全く同じ仕打ちをすることで、 「日本人もガイジンもない。俺たちは同じドラゴンズの仲間だ!」 ということを、エディにアピールしたかったのである。
山田監督の深い思いやりにより、やがてエディの誤解も溶けるだろう。 |
|