
2010/04/11(日) 大島・松井祐、男の旅
▼ウォーク・アバウト
大人になるために、やるべきことがある。
英語ではウォーク・アバウト(Walk About)という。
元々の意味はアボリジニが大人になるときに、
アウトバック(荒野)を旅し、様々な苦境を乗り越えながら、
生きていくための知恵や種族の伝統などを学ぶことだ。
アメリカやオーストラリアでは、
少年がある年齢を迎えたとき、親は子供を一人旅
に出す。
少年はそこでいろいろなことを学び、精神的に成長して帰ってくる。
つまり大人になるための通過儀礼だ。
逆に言えば、これを経験しない人間は大人になれないのだ。
イニシエイションやイントゥ・ザ・ワイルドという言い方もするが、
外国では普通にある習慣で、日本にはこれが無い。
日本の社会には大人なのに子供みたいな人間がいっぱいいるが、
それは日本にウォーク・アバウトの習慣がないからだ。
▼読売戦は1勝2敗
同率首位、ゲーム差なしで迎えた中日−読売の三連戦。
勝ち越した方が単独首位という頂上決戦ということで、
原監督の方はさぞや気合が入り、興奮しただろう。
そして必死の戦いで読売は2勝1敗と勝ち越し、
この夜は嬉しくて眠れないことだろう。
↑ぬか喜びする原監督
正直、読売に勝つのは簡単だ。
お茶の子さいさい、へそで茶を沸かすより簡単だ。
だが、目先の勝利よりやるべき事がある。
▼大人になる試練
それは、開幕1軍ルーキーを
ウォーク・アバウトに出すことだ。
大島・松井佑の2人の“少年”。いや、もう24歳と22歳で全然少年じゃないんだけども。
プロ野球選手としてまだ小僧っ子、って意味で。
この試合でセリーグ5球団との対戦がひと回りした。セにはどういうチームがいて、
どういう戦い方をするのかを学んだことだろう。
そして5番目に当たった球団は(中日を除けば)日本で一番強い、
日本で一番悪い、読売だった。
両ルーキーは全力でぶつかり、砕け散った。
「倒すべき相手」が誰であるかを知った。
これは、少年がウォークアバウトに旅立つ前の準備である。
▼しばしの別れ
試合後、二人は西へ。
由宇、鳴尾浜、雁ノ巣といったアウトバック(荒野)を旅し、様々な苦境を乗り越えながら、
生きていくために必要なことを学ぶのだ。
旅から帰った時、少年は大人の顔になっているだろう。
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