(65) フジイが静止する日
アツシ・フジイ
はその身体能力の高さに比べ、周囲の評価は低い。
「守れる、走れる、打てる」と三拍子そろった選手のはずなのだが、
いろいろ問題の多い
選手なのか、
首脳陣も使い方を考えあぐねている様子が起用法から見てとれる。
フジイの今季成績(4/6〜4/29)
4月 6日 |
1軍登録 |
4月 6日 |
代走 |
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4月 8日 |
守備 |
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4月 9日 |
守備 |
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4月15日 |
守備 |
三振 |
4月16日 |
代走 |
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4月19日 |
代走 |
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4月23日 |
守備 |
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4月25日 |
守備 |
二ゴロ |
4月26日 |
代打 |
三ゴ |
4月29日 |
代打 |
三振 |
5月 3日 |
登録抹消 |
開幕直後の4月は主に代走と守備固め。
2013年シーズンは103試合に出場して打率3割0分3厘、
オフのオッチGMによる
地獄の契約更改
では
奇跡のアップ査定(+100万円)
を勝ち取ったフジイが、
今年は打席に立つチャンスすら与えてもらってないのだ。
どうしてフジイを使わないんだ!
フジイに何の問題があるのか、全く見当もつかない!
フジイはあんな
たくさんのスキル
を持った能力者なのに!
【フジイの得意スキル】
(2013年版)
能力名 『狂肩発動』
(バックネット・バックホーム)
【効果】 自分の強肩をアピールしようと、
内野手のカットマンを無視して本塁に直接送球、
キャッチャーも捕れないような大暴投をして傷口を広げる
|
能力名 『牽制突然死』
(サドンデス・ランナー)
【効果】 自分の俊足をアピールしようと、
モーションも盗めてないのに直ぐ盗塁をやりたがり、
走る前に牽制で刺されてチャンスを潰す
|
☆ ☆ ☆ ☆
そんなフジイだが、6月15日に今季二度目の1軍登録、
その日の試合は6回に代打で登場、
反撃の口火となる今季初ヒットを放った。
続く17日の試合では7番レフトで今季初スタメン、
そこで我々は、
信じられない光景を目撃する!
1回表、西武の攻撃。2アウト一二塁で5番メヒアの放った打球はレフト前、
フジイの前に落ちた。二塁ランナーは三塁を蹴ってホームへ突っ込む!
そのとき!
フジイが返球を内野のカットマンへ戻した
のだ!
いつもなら「ここはオレの見せ場だぜ!」「オレの強肩、とくと見よーっ!」
とばかりにキャッチャーが捕れないボールをバックネットに叩き込むフジイが、
自重
という言葉を覚えたのだ!!
☆ ☆ ☆ ☆
そして迎えた18日、この日の試合である。
我々はさらに
フジイの奇跡を目の当りにする!
4回、ヒットで出塁したフジイは、次打者マツイの連打で二塁に。
続くオーシマの当たりはセンターに抜けたかと思う当たり、
しかし西武アキヤマのダイビング・キャッチで「捕ったかに見えた」。
このとき、ずんどらごファンの誰もが「あ〜あ〜、二塁ランナーフジイ、戻れないよ、ゲッツーだよ」
と思ったが、なんと、なんとあのフジイが
飛び出してなかった
のである!
いつものフジイならとっくに三塁を蹴って「ギャー!捕られたー!」とアタフタしながら戻っている場面なのに、
フジイが、あのフジイが、
打球の行方を確認
し、審判がフェアの判定をしてから走り出したのだ!
能力名 『一時停止順守』
(セルフ・コントロール)
【効果】 「ブレーキとアクセルとクラッチの壊れたダンプカー」と呼ばれていたフジイに、
ついにブレーキ機能がついた
|
落ち着くことを覚えたフジイはこの日は二打席連続安打のあと、
なんと二打席連続四球、
いつの間にか
ボールをよく見るというスキル
まで手に入れてたのだ!
フジイの今季成績(6/15〜6/18)
6月15日 |
1軍登録 |
6月 15日 |
代打 |
中安 |
6月 17日 |
7番レフト |
一ゴ 三振 三振 |
6月18日 |
8番レフト |
中安 中安
四球 四球
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どうしたフジイ!?
いつもいい格好を見せようとして、
余計なことをしてはチームをピンチに陥れる落ち着きのないフジイ
は何処に行ったんだ!!
6月18日(水)ナゴヤドーム
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
R |
埼玉 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
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1 |
中日 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
4 |
0 |
1 |
x |
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6 |
【西武】 牧田、武隈、豊田、ボウデン、ウィリアムス−岸谷
【中日】 大野−松井雅
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「落ち着き」という言葉を覚えたフジイの素晴らしい活躍もあって、
バックに全幅の信頼を覚えた
オオノ
がこの日は9回1失点完投というナイス・ピッチング!
この日のお立ち台は勝利投手のオオノと3安打2打点のオオシマが上がったが、
昨日今日と
「間に合わない打球に直接バックホームしなかった」
「きわどい当たりで飛び出さなかった」
「四球を二つも選んだ」
という
奇跡のプレー
を連発したフジイが影のヒーローだということを、
ファンは知っている。