エッグで 新興宗教の集会 が開かれた。




信者は オレンジ色の装束 を身にまとい、 気がふれたように 頭上でタオルをくるくる回して踊る。

頭の上でくるくるやるのは、 「くるくるパー」 のメタファで、 自己啓発の一環だ。 自分を晒し、恥をかくことで心のタガを外すのだ。




オレンジの装束で統一するのは、個性を排除し宗教依存を増幅させるマインド・ コントロールで、服従を意味する。 「同じ装束を身に着けないものは、反乱分子と見做し排除する」 という 奴隷システムの象徴だ。




この日は信者全員にこのオレンジ装束が無料で配られた。 これを身に着けているかいないかで、 洗脳されていない者、奴隷化してない者を炙り出す目印とするのだ。

「なんとか…なんとかこの洗脳された者たちを救い出さなくては…」

新興宗教に取り込まれたチェリー田淳子のように、 占い師に洗脳されたオセロのセンター島さんのように、 彼ら（彼女ら）にはまったく「奴隷化されてる」という自覚がないのだ。

この可哀想な４万４０００人くらいの信者 （洗脳されてないずんどらごファン２０００人を除く） を、助けてやりたい！

そんなことをずんどらごナインが思った矢先だった。

「ああっ、あの人はっ！？」




昨年末、忽然と姿をくらまし 行方不明になっていたイバタさんじゃないか！？




ずんどらごナインは激しく動揺した。

行方不明になったイバタさんは共産主義の国に拉致されたとも、 途中で船が沈んで船長が乗客を見捨てて逃げ出したとの噂もあった。 あるいは旅の途中で聴覚を失い作曲家になったとも、 どこかの国で細胞培養技術を雑誌に発表して一躍時の人になったとも囁かれた。

それが、まさかオレンジの新興宗教団体に潜入していたなんて！

イバタさんを救い出さなくては！


いやしかし、ずるがしこいイバタさん、 いやもとい、 常に二つの顔、三つの顔を使い分ける頭のキレるイバタさんのことだ、 何か考えがあってのことかもしれない。

ここはしばらく様子を見ることにしよう。

それにしてもイバタさん、なんて、なんてオレンジの装束が似合わないんだ！




ということで、様子を見ているうちに試合は終わっていた。

可哀想な４万４０００人くらいの信者 （洗脳されてないずんどらごファン２０００人を除く） のことは見捨てる格好になったが、 ま、いっか。