▼森球審、体調不良 最初に気づいたのはしげるだった。 背中にいる森球審のストライク・ボールの声のトーンがおかしい。 体の調子でも悪いのだろうか? 「……?」 一塁ベンチからも、森球審の異変の様子は見てとれた。 いつも堂々と胸を張り試合を支配する球審が、どうにも弱々しく見える。 フラフラしている。 |
落合監督がベンチを出た。 責任感の強い森は、体調不良を言い出せないでいた。 しかし落合監督が声をかけたことで、 「ああ、端から見て分かるくらい俺は具合が悪いんだ」 と気づき、森の責任感は「試合を休むと迷惑がかかる」から「試合に出ると迷惑がかかる」に変わった。 そして森は下がり、二塁の名幸が球審に、二塁には予備審判の橘高が入った。 |
審判に橘高を入れるというのは中日にとってリスキーな選択
になったが、
グラウンドでの事故防止はすべてに優先される。試合の勝敗よりも、だ。 ▼心やさしき者たち 「森さんは大丈夫だろうか…」 心やさしい竜戦士たちだから、途中退場した森審判員のことを思うと気が気でない。 今は治療室で点滴を受けているという。 森さんは大丈夫だろうか、大事なくあって欲しい、 そんなことばかり考えていてはプレーに集中出来ないのも当たり前。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
試合は0−8と大敗したが、今日は仕方がない。 竜戦士たちの心のやさしさが出てしまった敗戦だった。 |
|
▼28474 この日のナゴヤドームの観客数発表は28424人と、 読売ファンも球場来てない ということが、ハッキリと数字で明らかになった。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
▼森審判員、過換気症候群だった 後日、森審判員は風邪による発熱と、過換気症候群という診断結果が出た。 大事にいたらずよかった、 と、ドラゴンズナインはホッと胸をなでおろした。 |
ウィキペディアで「過換気症候群」を調べると、
「直接的にこの症状が起因して死ぬ事はない。しかし心臓発作などを誘発し死に至るケースもある」
と、記述されている。 グラウンド内での悲しい事故は二度と見たくない。 試合の勝敗よりも、森審判員が無事で本当によかった。 |