国からスーパースターがやってきた。
“コリアン三銃士”以来の韓国戦士・李炳圭。
中スポによれば、「走攻守、三拍子揃った韓国のイチロー」とのこと。
しかし、来日した実際の李炳圭の動きを見ると、
「韓国のイチロー」と言うよりは、「韓国のイノウエー」。
守備では一か八かの突っ込みよりも一歩引いての安全策を選び、
打撃は流し打ちを得意とし、引っ張れば一発もある。
内角低めの落ちる球には「秘打・白鳥の湖」を思わせる華麗な回転を見せる。
まさに
「韓国版・井上一樹」
だね。
しかし、井上と違って李炳圭は決して愚痴らず、弱気を見せず、
どんなに叩かれてもめげないハートの強さを持ってたんだ。
大物といわれる選手は大概、打てなくなると審判のせいにしたり、バットに八つ当たりしたり、
監督の起用法に文句を言ったり、
イライラして相手投手にケンカを売ったりする。でも李炳圭は常にクレバーだ。
(冷静すぎてそれが「やる気がなさそうに見える」と言われることもあるけど)
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落合博満 『野球人』 p.219より
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選手を育てる場合は、
欠点に目をつぶってでも長所を伸ばすことが大切だと思っているが、
外国人についても同じだ。
四十本近くの本塁打と百以上の打点を挙げてくれれば、打率は二割五分で十分。
三振だって極端に言えばいくつしたって構わない。とにかく、欲を言えばキリがないし、
その選手が最大限の力を発揮できるように仕向けてやればいい。
そして、決して日本人選手として考えてはいけない。
シーズン半ばで、打率がいいから
「ホームランを捨ててヒットを量産してくれ」
と言ってみたり、本塁打を順調に打ち続けている時に
「三振をもう少し減らせないか」と願ったりすることは禁物だ。
その代わり、契約の時に
「何も言わないから数字を残してくれ。こちらが期待する数字を残せなかったら、一年でクビにするから」
とはっきり言っておく。
助っ人なんだからこれでいいのだ。
ただし、
成績がどうであれシーズン半ばでクビにするのだけは避けたい。
一シーズンを戦えば、その選手に順応性があるかどうかが見極められるから、
以後に外国人選手を獲得する際のデータにもできる。
選手にだってプライドがあるから、
あまり惨めな成績で終わるわけにもいかないだろう。
だから私は、
一年目に期待した成績が残せなくても、
順応性があると判断した選手とは契約を延長したい
し、
数字を残しても次の年は研究されて散々な成績になりそうな選手は帰してしまう。
外国人選手とは、そうやって付き合っていきたいと考えてるが、
こんな考え方の私のチームは、
助っ人が外れるとメディアの格好の餌食にされるに違いない。
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さてさて、李炳圭の「日本への順応性」はどうか。
人は成長する生き物だから、文句を言うより期待をしたいね。
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李炳圭
いっさいの言い訳をしない男らしい韓国人。
立ってるだけで「やる気がなさそうに見える」
と外見で判断される薄幸い草食系男子。
S・ラミレス
(2007)
中継ぎとしては二十七試合で防御率一・四八と活躍したが、
「右の中継ぎ」は外国人枠を遣ってまでの補強ポイントではなかった。
(じゃあ「何で獲ったの?」って話なんですけどね…)
E・ラミレス
(2007)
S・ラミレスとE・ラミレスがいたが、E・ラミレスはどうせ一軍の試合には出ないので
区別する必要はなかった。
グラセスキ
(2007)
選手名鑑の写真が見下ろし目線で話題になった。
バレンタイン
(2007)
選手会が「七十人枠入れ替えのために育成枠を使うなんて選手がかわいそうだ!」
と言って」ルールを曲げたため、
選手を解雇して七十人枠をあけるというもっとかわいそうな事になった。
宮本慎也によって野球人生を変えられた不運な外国人。
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