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落合時代

十パーセントの底上げ 2003年

落合博満
落 合新監督は監督就任会見で、 「一年目は補強はしない」「現有戦力で十パーセントの底上げをすれば必ず優勝できる」 とブチ上げ、堂々の優勝宣言をしたんだ。

 「補強なしで優勝?!」

 中日ファンは、歴史的に 「優勝するためにはまず補強」と脳内すり込み されてるから、 これにはみんなビックリした。

 一九八八年の優勝、一九九九年の優勝と、いずれも主力を大胆なトレードで放出し、 移籍してきた選手の活躍によってチームは活性化した。 だから「優勝するには補強は不可欠」というのが中日の定説だった。

 それが、「補強なし、昨年と同じ戦力で優勝できる」と来たもんだから、 落合はホラ吹きだ、そんなことできるわけがない と、周りには冷ややかな目で見られたんだ。

 就任会見で落合監督がチーム方針としてあげたのは、

・一年間の解雇、トレード凍結
・春季キャンプでは一、二軍を分けない
・ヘッドコーチは置かない
・一芸選手を使う
・トスバッティング禁止
・右の日本人四番打者を育てる

 などなど。

 これらの方針は偉い人たちにいちいちケチをつけられ批判されたけど、 落合監督にはそれぞれちゃんとした理由があった。

・一年間の解雇、トレード凍結
 自分はまだ監督に就任したばかりで、テレビや新聞でしか選手の情報を知らない。 知らないのに使えるか使えないかの判断は出来ない。
・春季キャンプでは一、二軍を分けない
 どの選手が一軍か二軍かという判断基準は今の時点では下せない。 全員を見たいから、一箇所でやる。
・ヘッドコーチは置かない
 ヘッドコーチなんてものは、 シーズン中にチームが成績不振になったとき、 ヘッドコーチのクビを切ってお茶を濁す責任転嫁のための役職だ。 すべての責任は監督にあるもので、コーチに責任を持たせるべきではない。
・一芸選手を使う
 走攻守すべてに及第点のオールマイティ・プレーヤーより、他はダメでもこれがある、 といった一芸を磨け。欠点を補おうとそればかりに一緒懸命になると、せっかくの長所が封印されてしまう。
・トスバッティング禁止
 実際の打席でボールは横から来たりしない。 あり得ないボールを打つ練習をしても練習にはならない。 ネットに向かって打つバッティングはオーバーネットを意識してどうしてもボールの上を叩きがちになる。 遠くへ飛ばす基本はボールの下を叩くことで、 ボールの上を叩く癖がつくと打球は内野ゴロばかりになる。
・右の日本人四番打者を育てる
 四番とは打線の柱としてチームを何年も支えていかなくてはいけない。 外国人は契約問題で突然フッといなくなってしまう事があるから、 チームに腰を落ち着けられる日本人が好ましい。 また、監督としては四番は右打者の方が、前後のオーダーを考えやすい。

 落合監督は理由のないことはしない。 思いつきや思いこみで言ってるように見えても、 何か考えがあって言ってるんだね。

 監督が何を考えてるのか。 そういう“野球の楽しみ方”が、 落合ドラゴンズでは追加されたんだ。


歴代外国人選手
(1987-2009)

1987 カスティーヨ、ゲーリー、郭源治
1988 ブライアント、ゲーリー、郭源治
1989 ジョージ、義信、郭源治
1990 バンスロー、ディスティファーノ、義信、(郭源治)
1991 ライアル、デビット、アンダーソン、(郭源治)
1992 ライアル、パウエル、アンダーソン、(郭源治)
1993 ジャコビー、パウエル、ステアーズ、(郭源治)
1994 ジェームズ、パウエル、ヘンリー、(郭源治)
1995 ホール、パウエル、モンテ、(郭源治)
1996 コールズ、パウエル、宣銅烈、(郭源治)
1997 ゴメス、パウエル、ウイリアムズ、宣銅烈
1998 ゴメス、ジャービス、サムソン、李鐘範、宣銅烈
1999 ゴメス、リリアーノ、サムソン、李鐘範、宣銅烈、呂建剛
2000 ゴメス、ディンゴ、カールソン、バンチ、ギャラード、李鐘範、曹竣揚、呂建剛
2001 アンロー、ティモンズ、ゴメス、バンチ、ギャラード、曹竣揚、呂建剛
2002 リナレス、ブレット、バンチ、バルガス、ギャラード、曹竣揚、呂建剛
2003 リナレス、クルーズ、アレックス、バルガス、バルデス、ギャラード、瀬間仲ノルベルト
2004 リナレス、アレックス、ドミンゴ、バルガス、バルデス、チェン、(瀬間仲ノルベルト)
2005 ウッズ、アレックス、べロア、ドミンゴ、マルティネス、チェン、(ホッシャ)
2006 ウッズ、アレックス、ドミンゴ、マルティネス、チェン、ガルバ、ペレイラ
2007 ウッズ、李炳圭、Sラミレス、Eラミレス、グラセスキ、バレンタイン、チェン、クルス
2008 デラロサ、ウッズ、李炳圭、チェン、クルス
2009 ブランコ、デラロサ、李炳圭、パヤノ、チェン
※( )は途中から日本人扱い。

人物紹介
オズマ
オズマ
 読売の星飛雄馬の大リーグボール一号を「見えないスイング」で激破。 たぶんあのスイングなら三号も打てたはずだが、 途中帰国し、帰らぬ人となった。


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