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のゴメスの後釜を探しにアメリカに行って、 児玉部長が連れて来たのは左のクルーズ。 「それじゃないんだけど」 という言葉をグッと飲み込み、 中日はさらに右の強打者を探した結果、 メジャー五年間で五十九本の本塁打を打ったケビン・ミラー(マーリンズ)に 白羽の矢を立てた。 契約交渉は順調に進み、 二年契約、年俸総額六億六千万円で最終合意、 あとはマーリンズからの移籍手続きだけとなった。 FA権を持ってないミラーを日本に移籍させる場合、 日米間の決まりで選手をウェーバー公示 (=選手を自由契約にする前に、トレードでの獲得を希望する球団がないか確認する手続き) にかけなくちゃいけない。 これは形式だけの手続きで、 既に日本の球団と契約が内定している選手には、 他球団は手を挙げないという暗黙のルールがあるんだ。 ところが! ミラーがウェーバー公示されると、 ボストン・レッドソックスが獲得に突然名乗りを挙げた。 ねるとん紅鯨団で言うところの「ちょっと待ったァー!」だ。 しかし、ウェーバーとねるとん紅鯨団の大きな違いは、 「ウェーバーではちょっと待ったをかけた方に優先交渉権が発生する」 という点だ。
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このレッドソックスの横やりに日米の野球機構は大騒動、 大リーグ機構は 「ミラーとの交渉権は中日にある。レッドソックスの『ちょっと待った』は認められない」 との判断を下し、 それを受けて中日はミラーと正式契約した。 そしてミラーのサイン入りの統一契約書がNPBに受理され、 ミラーは中日の支配下登録選手として公示された。 中日球団は正式に入団発表を行い、背番号は「22」に決まった。
「やれやれ、これで一件落着だぜ」と、 あとは春季キャンプでミラーの来日を待つだけとなった一月下旬、 突如ミラーが 「自分はボストンでプレーがしたい」 と言い出した。 中日は、 「いや、正式契約まで結んでおいてそれは無茶でんがな。 ホラ、サイン入りの契約書もあるでよ」 とアホなこと言っとらんと早よ来い、と来日を促した。 そこへ口を挟んできたのが米球界を牛耳るメジャー選手会だ。 「中日がミラーのレッドソックス入団を認めない場合、 選手会はこの春予定されている日本でのオープン戦で、選手派遣をボイコットする」 このメジャー選手会からの“脅迫”に、 大リーグ機構、日本プロ野球機構は借りてきた猫のようにおとなしくなってしまい、 まるで他人事のように「中日とミラーの問題だから、うちらは知りまへんで」 と中日を突き放したんだ。 これでメジャー選抜が日本に来ないとなったら、 「中日のせいで日米関係が悪化した」ことになってしまう。 NPBは何のフォローもしてくれない。 仕方なく中日は、泣く泣くミラーとの契約破棄を決定した。 ミラーは、 「ジャパニーズ・サードベースマンと同じことをしただけさ」 と、反省の色ひとつ見せず言い放った。
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森岡良介 (もりおか・りょうすけ、2003-2008) 桜井好実 (さくらい・よしみ、2003-2006) 植大輔 (うえ・だいすけ、2003-2004) 長峰昌司 (ながみね・しょうじ、2003-) 小林正人 (こばやし・まさと、2003-) 瀬間仲ノルベルト (せまなか・ノルベルト、2003-2005) 湊川誠隆 (みなとがわ・まさたか、2003-2004) |