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野監督は自分が辞任する際、次期監督としてヘッドコーチの山田久志を指名した。 クビになった監督が次期監督を指名するなんて異例中の異例だけど、 みんな山田久志の投手コーチとしての手腕は知ってたし、 誰も異論をはさまなかった。 打撃のチームだったドラゴンズを十二球団屈指の投手王国にし、 岩瀬という神を育てたのは投手コーチ・山田久志だ。 ファンからのサインの申し出には忙しいときでもイヤな顔ひとつ見せず対応し、 そのサインも雑でだらしない崩し文字ではなく、階書体で丁寧に書く。 ファンからの選手からも信頼の厚い、山田新監督の就任は当然のなりゆきと言えた。
山田久志のサイン
山田久志。 一九六八年、星野監督と同じ年に阪急にドラフト一位で指名され、 そのころ久志はケガでピッチングが出来ず、 「野球がやれる状態ではありません」と断り続けたんだけど、 足しげく通ってくれた阪急スカウトの熱意に押され、指名の一年後に阪急に入団した。 そして阪急のオリックスへの身売りが決まったときには、 オリックスからの残留要請を断り、 「今の自分があるのは阪急のおかげ。阪急の山田久志として引退したい」 と引退してしまったほどの義理と人情の男だ。 ファンに優しく、人一倍義理を重んじ、性格は真面目で几帳面。 現役時代は二〇〇勝を挙げたスター選手で、投手コーチとしても優秀、 人間としての魅力も兼ね備え、 もひとつおまけにアンチ読売。 まさに、理想の監督の誕生だ。 センイチも、「 困ったこと があったら何でも相談してくれ、協力は惜しまない」と 全面的なバックアップを約束して、バトンを渡したんだ。 |
前田章宏 (まえだ・あきひろ、2002-) 田上秀則 (たのうえ・ひでのり、2002-2005) 久本祐一 (ひさもと・ゆういち、2002-) |