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第二次星野時代

東京エッグの誤審騒動 1999年

星野仙一
優 勝に向かって突き進む中日にとって大事な前半戦最後の試合、 七月二十二日の東京エッグ。

 八回裏無死一塁、 バッター・マルティネス(読売)の打った打球は一塁後方、右翼との中間地点に ポトリと落ちそうなテキサス性の飛球だった。 それを超イケメン・井上一樹が猛ダッシュ、 これ以上ないという絶妙なタイミングでスーパーキャッチした!

 「ビューティホゥ!」

 とエッグを埋め尽くした五万五千人マイナス若干名の中日ファンが スタンディング・オベーションで井上のファインプレーを讃えようとした瞬間だった。

 「フェアー!」

 打球を一番近くで見ていた田中俊幸一塁塁審が突然のジョ−クを放つ。

 「何故、試合中にジョークを?!」
 「フェアだと?」
 「井上のあまりの超美技に『フェアプレー賞』でもあげようというのか?
 「表彰は試合が終わってからにしてくれ。何故インプレー中に?!」

 井上が「なんでやねん!」と 審判に抗議してる間に、一塁ランナーは三塁に進塁、 本来ならダブルプレーで二死ランナー無しのはずが、 無死一三塁となってしまったんだ。 (この後、中日は得点される)
抗議はあとでいいからまず内野に返球しろ。 アホウが。 青コアラ
金コアラ 捕ったと主張するなら一塁に投げるのが先だ。 アホウが。

 星野監督はいつも通り猛抗議、そしていつも通り判定は覆らず。

 試合は、この理不尽な判定に一致団結した竜打線が大爆発、 大量点で読売をブチのめし、 「お天道さまはいつも正直者の味方ですよ」 ということを世間に知らしめたんだよ。

 しかしこの試合後、この事件があまりに話題になり過ぎたためか、 田中塁審は誤審を認め、 オールスター明けから三試合を休養、翌年には 辞表を提出 するという何とも後味の悪いことになったんだ。

 投手だって一試合投げれば何球かの失投、 打者だって四打席立てば半分はミスショットがあるのに、 審判はたった一回のミスジャッジも許されないなんて、 因果な商売だね。


一樹キャッチ
休養を発表する田中審判部長



ボールを見せびらかす一樹
ま、捕ったらさっさと内野に返球しろっちゅう話ですよ…


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