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日・読売の両チームはぴったり並んだまま、 十月八日、まったくの同率でシーズン最終戦、 勝った方が優勝という“天王山”直接対決を迎えた。 このプロ野球史上初の劇的な舞台を、 読売・長嶋茂雄監督は “国民的行事” と呼び、日本中のプロ野球ファンがこの試合に釘付けになった。
十・八 スタメン
読売は“先発三本柱”の槙原・斎藤雅・桑田をスタンバイ。 先発の槙原が序盤で黄信号を出すと、 長嶋監督は早々と槙原を諦め斎藤雅を投入する“エースのリレー”。 一方、中日先発・今中も、 去年までとはうって変ったダサいユニフォームの落合の先制ツーランなどで序盤で早々と降板、 向こうが先発総動員ならこっちだっと出し惜しみはしない、 「二番手投手は山本昌か、それとも郭源治か?」 と観客の目がスコアボードに釘付けになった。 このとき、この試合をテレビで、球場で見ていた一億二千万の野球ファンは、 いつもクールで無口で冗談をあまり言わない 高木監督の初めてのジョーク を聞くことになるんだ。 全世界がズッコけ、日本列島が全体で三十センチ沈んだ。
十・八 スコア
日本三大ミステリー といわれるこの試合は読売の優勝で幕を閉じ、 高木監督は「終盤の追い上げで最終決戦まで持ち込んだ」ことが評価され、 シーズン途中での辞任発表は取り消し、 来季も監督続投することが決まる。
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市原圭 (いちはら・けい、1994-1998) ホール (1995) |