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第一次星野時代

ドラフトで今中・大豊を指名 1988年

星野仙一
こ の年のドラフトでも中日は裏ワザを炸裂させる。


 中日はこの前の年、台湾出身で愛知大学リーグで活躍した大豊泰昭を 球団職員(練習生)として雇用した。

 これは、当時のルールで 「外国籍の学生をドラフトにかける場合、 五年以上日本に滞在していないと日本人扱いにならない」 というのがあって、大学卒業から一年待って、 大豊が“日本人扱い”になるのを待ったんだ。

 通常、こういう場合(=球団職員として囲い込んで翌年のドラフトで指名)は 「一位で指名する」という 暗黙の決まり があった。

 だって、球団職員として囲い込むってのは、野球協約で禁止されている 「交渉解禁前の入団交渉(タンパリング)」と一緒 だからね。 本当はルール違反だけど、そこはまあお互い様っていうか、 ルール違反を見逃す代わりに一位指名権は放棄する、 ってことで見て見ぬふりをしてたんだ。

 ところが中日はその暗黙のルールを破り、 大豊ではなく 今中慎二を一位指名 する。

 ドラフト前から今中は「希望球団は中日」と表明していたんだけど、、 十二球団のスカウトが今中を注目していて、いつ横取りされてもおかしくなかった。 だから今中獲得を確実にするため、中日は球団職員の大豊を二位指名に回し、 今中を一位指名したんだ。

 この中日の紳士協定破りの「ドラフト戦略」は他球団から非難を浴び、 この出来事がきっかけでドラフトのルールが改正されてしまった くらいなんだ。


(野球協約より)

第133条(新人選手の選択) 球団は、日本の中学校、高等学校、大学に在学し、 または在学した経験をもち、いまだいずれの球団とも選手契約を締結したことのない選手 (以下新人選手という)と、選手契約を締結するためには、 選択会議で同選手にたいする選手締結の交渉権を取得しなければならない。

 日本の中学校、高等学校、大学に在学した経験をもたない場合であっても、 日本国籍を有する新人選手と選手契約を締結するためには、 前記の規定に従わなければならない。

 ただし球団は、まだいずれの球団とも選手契約を締結したことのない 新人選手であっても、 当該選手と雇用関係にあった場合、同選手を選択することができない。(←追加部分)

 要約すると、 「球団職員をドラフトで指名してはいけない」 ってことだよ。

 中日が紳士協定を破っちゃったから、 もう囲い込みは出来ないことにされてしまったんだね。

金コアラ ルール関連とかでトラブルが起きたとき、 元をたどればたいがい中日にたどりつくな。
抜け道のあるルールは、 その抜け道を使うことにより、 改正されて正しい方向に向かうものさ。 青コアラ


1988年
ドラフト
1988年ドラフト

人物紹介
今中慎二
今中慎二
(いまなか・しんじ、1989-2001)
 「中日の歴代ナンバーワン選手は?」というアンケート(本サイト調べ)では 二十年連続で一位に輝き続けるスーパースター。 現役時代から解説者の今もふてぶてしく態度もデカいが、 今中を嫌いだという中日ファンは見たことがない。

大豊泰昭
大豊泰昭
(たいほう・やすあき、1989-1997,2001-2002)
 名古屋で『大豊飯店』を経営する中華料理屋の大将。 髪は薄いが情には厚い。

山口幸司
山口幸司
(やまぐち・こうじ、1989-1999)
 プロ拒否だったがこちらもセンイチに丸め込まれて三位で入団。 イケメン守備固め。

酒井忠晴
酒井忠晴
(さかい・ただはる、1989-1995,2003-2004)
 中日では内野の守備固め、移籍先のロッテでは主力として大活躍した。 今はどういうわけか欽ちゃん球団に所属している。

清水雅治
清水雅治
(しみず・まさじ、1989-1995)
 高木時代に故障の彦野に代わる一番打者としてブレイクしかけたが、 星野政権に変わると秒速でトレードに出された。


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