五月二十八日(木)○中日―東北楽天●
合後、杉永球審は言った。
「暴言、侮辱行為はありません。五分過ぎたので、ルール通りに退場です。
ルールには詳しい監督なので、すべて分かっていました。判定? 送球より足の方が速かった。
その説明をしましたが、押し問答でした」
その日、ベンチの落合監督はいつもよりイライラしているように見えた。
まるで何か、不安を抱えているような-----。
◆この日のテレビ番組表◆
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しまったぁ〜
今日は『ダウンタウンDX』に研ナオコさんが出る日だっただ…
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録画予約してくるの忘れたなァ〜
今日は早く試合終わらせねばなんねえだぞ…
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試合は投手戦の様相を見せたが、吉見がアクシデントで降板したり、
楽天・野村監督の細かい継投で、
ロースコア・ゲームの割に時間がかかり、
守護神の岩瀬がマウンドに立った頃には時計は夜の九時を回っていた。
しかし岩瀬の調子は今ひとつ、あろうことか一死満塁から、
同点のホームを踏まれてしまった。
本塁セーフのジャッジに落合監督は、
今まで見たこともないような憤怒の表情で猛然とベンチを飛び出した!
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おい! おめえ、いま何時だと思ってるんだ!!
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えっ… 九時…十四分ですが…
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このまま延長入ったら間に合わねえでねえか!!
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(間に合わない?)
送球より足の方が速いです!
間違いありません!
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判定の話なんかしてねえだ!
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(ええ〜… そこ否定かよ…)
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今日のゲストはナオコさんなんだぞ!
おっかあの親友だ!
見てねえと何言われっか分かんねえぞ!?
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待ってください、何の話ですか?
ナオコさんって誰ですか?
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ナオコさんったら研ナオコさんに決まってるべ!
おめえ、『ナオコ婆ちゃんの縁側日記』、見たことねえのか!?
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【杉永証言】
「暴言、侮辱行為はありません。五分過ぎたので、ルール通りに退場です。
ルールには詳しい監督なので、すべて分かっていました。
判定? 送球より足の方が速かった。
その説明をしましたが、
押し問答でした」
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ナオコさんが密室で男襲うんだぞ!! 十時からだ!
延長なんか入ったら見れねえでねえか!
おっかあに怒られるのは俺なんだぞ!?
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テ、テレビ番組の話ですか?
奥さんかお子さんに携帯で連絡してビデオで録ってもらうというのは…
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ベンチと外部の人間が連絡を取り合うのは
アグリーメントで禁止だべさ!
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(あ、相変わらずルールに詳しいなあ監督…)
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【杉永証言】
「暴言、侮辱行為はありません。五分過ぎたので、ルール通りに退場です。
ルールには詳しい監督なので、すべて分かっていました。
判定? 送球より足の方が速かった。
その説明をしましたが、押し問答でした」
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…分かった。
おめえがそういう気なら、オラにも考えがあるだ。
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な、何ですか…
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オラを退場にしろ!
審判に五分抗議したら退場、アグリーメントで決まってるべ?
したらオラ、家に帰れっからヨ。
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え… そ、そんな…
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さっさとしねえか!!
ハマちゃんは待ってくれねえだぞ!
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え、えーと…
た、退場〜〜〜
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こうして、退場になった落合監督は二十二時からの『ダウンタウンDX』に間に合ったのだった。
めでたし、めでたし。
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東北楽天 |
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中日 |
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1x |
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2x |
【中日】 吉見→高橋聡→平井→岩瀬→○長峰
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【東北楽天】 永井→有銘→小山→●青山
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【本塁打】 和田十二号(青山)
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延長十一回にサヨナラホームラン。
三安打猛打賞で、あとツーベースが出ればサイクル安打だった。
吉見一起
(よしみ・かずき)
七回三分の二でアクシデント降板したものの、無失点。
後ろのピッチャーが打たれて同点にされても、
ベンチで一所懸命応援するナイス・ガイだ。
高橋聡文
(たかはし・あきふみ)
吉見緊急降板のスクランブルも、
任せられた一人をきっちり抑えた。
藤井淳志
(ふじい・あつし)
二回に先制タイムリー。
これ以外は三打席三四球で、どういうわけか楽天バッテリーには怖れられているようだ。
(谷繁がナメられているという噂も)
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