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五月四日(月)●横浜―中日○ 本は、一日一回飛ばないと病気になってしまうのだ。 前世は鳥、トビウオ、あるいはカエルだったのだろう。 かつてドラゴンズでは関川浩一という選手が 「一塁にヘッドスライディングをしないと病気になってしまう病」で よくヘッドスライディングしていたが、野本も同様、“戦士の遺伝子”を持っているのである。 この日は延長十一回裏、 二点を追いかける横浜の攻撃、二死満塁でバッター内川の場面だった。 ドラゴンズ最強リリーフ陣が誇る天才豪腕・平井の投じた一球を、 私生活が乱れ気味の内川のバットが弾き返す。 打球は一直線にライト方向へ。 まずい! このままではライトとファーストの間に落ちる! そのとき! 「ど根性ーーーーっ!」 一日一回飛ばないと病気になってしまう野本がスーパー・ジャンプでダイビング・キャッチ! 劇的なゲームセットで、ドラゴンズに勝利を、野本に健康を取り戻したのだ。
しかしこのダイビングを「抜けたら大変なことになっていた」 「失点覚悟であそこは待って捕るべきだったんでは」という声もある。 なるほど、もしライトが ジャンプしないと病気になってしまう野本じゃなければ、 あそこは待って捕るのが正解だったのかも知れない。 だが、このときのライトは ジャンプしないと病気になってしまう野本だったのだ。 ダイビングを自重して待って捕って、仮に試合に勝てたとしても、 このワンプレーで野本が病気になってしまっては、あまりに重い一勝だ。
野本は四月にもこれと同じような場面があり、 ヤクルト戦で青木の打球にダイビングするも捕れず、 待って捕ればシングルだった打球をツーベースにした前歴がある。 そのとき野本は「あれはまずかったです」と言っていただけに、 失敗した場合のリスクも十分に理解した上で、飛んだのだ。
【どこでもジャンプする野本圭】
「前へ落ちそうな打球にも!」 「走塁でも!」 「フェンス際でも!」 「痛てて…ピョン吉! おい、大丈夫かピョン吉!?」 もちろん“失敗した場合のリスク”とは、着地に失敗すると ユニフォームの下のピョン吉 が大ケガをしてしまう、という危険性だ。 |
川井雄太 (かわい・ゆうだい) 井端弘和 (いばた・ひろかず) 藤井淳志 (ふじい・あつし) 野本圭 (のもと・けい) |