|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
五月三日（日）●横浜―中日○
とりの男が、空を上へ上へと昇っていく途中のことだった。雲を超え、「いよお、絶景かな！」とふと下を見ると、横浜スタジアムが見えた。 屋外球場でデーゲームだから上空からはよく見える。 すると、中日ドラゴンズが横浜ベイスターズにコテンパンにやられているではないか。 「何やってんだぁドラゴンズは？ 呆れたもんだなサマタイム・ブルース！」 と、ギター片手にＵターン、空を飛んで選手たちの宿泊する横浜市内のホテルに向かい、 夜、ぐっすり寝ているドラゴンズナインの枕元にあらわれた。 「どうしたんだい、へヘイドラゴンズ！」 「いつものように決めて、ぶっ飛ばそうぜ！」 男はギターをかきならしてシャウト。 霊界通訳の落合英二が帯同していないので 選手には直接は聞こえなかったものの、翌日の二戦目、 ドラゴンズは“何かを感じた”チェンが気迫の投球で九回完封、 打つ方もまあ、それなりに、とにかく連敗脱出したのだった。 「なんか、頭の中でロックが聴こえてるっていうか…」（チェン） 「打席に立ったとき、イェーイ、って感じになりました」（和田） ゲームセットの瞬間、遠い空の向こうで、ホラ貝が鳴るのが聞こえた。
 |
   チェン  和田一浩 (わだ・かずひろ)  忌野清志郎 (いまわの・きよしろう) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||