TROUBLE 2 ■藤王伝説(2005年4月)
「元スポーツ選手の事件」なら割とあるが、 この事件が飛びぬけて特異で、 日本列島に一大センセーショナルを与えたのは、 藤王のもはや伝説となった名文句にある。 いわく、 「俺は藤王だぞ!」 このセリフは藤王の現役時代を知る中日ファンのみならず、 藤王を知らない、野球に興味のない子ども・主婦層にまで幅広く広がり、 お茶の間の日本人1億人のハートをがっしり鷲掴みにした。 「俺は藤王だぞ!」 「……だから!?」 ☆ ☆ ☆ ☆ 事件当時、被害者の店長は28歳、アルバイト店員は22歳である。 藤王の全盛時はドラフト1位指名された1983年がピークであるが、 ドラフト当時コンビニ店長は6歳、アルバイト店員に至っては0歳である。 0歳と6歳の子どもでさえ“知っていなくてはならない”存在、それが藤王なのである。 事件後、日本中の小学生・中学生の間では掃除の時間などに 「藤王ごっこ」が大流行り、 その年の流行語大賞の得票では「俺は藤王だぞ!」が記録的な票を集めたと言われているが、 流行語大賞はオウム事件以降「悪質な事件に関わる言葉はランキングに入れない」という不文律が出来ており、 藤王への“まぼろしの史上最多票”は闇から闇へ葬られ、 得票数2位の「チョー気持ちいい」(北島康介)が繰り上げ1位となっている。 なお、「俺は○○だぞ!」という言葉ひとつで世界を支配したのは歴史上、 ジャイアンと藤王の二人しかいない。 ex.) 「♪俺はジャイアンだ〜」 |