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--入団当時の紹介記事

画像 [名前]中里篤史 [出身]埼玉県志木市 [誕生日]1982年9月12日生まれ [ニックネーム]アツシ [趣味]野球部の友達と遊ぶこと [好きな食べ物]焼き肉 [好きな言葉]直球勝負 [尊敬する人]両親 [好きなプロ野球選手]松坂大輔(西武) [好きなタレント]鈴木あみ

高校生ナンバーワン右腕

 夢はでっかく“松坂二世”。西武の若いエースに憧れ、近い将来、追い越す事を決意する若武者が、 今季のドラフト一位・中里だ。
 「自分の真っすぐに自信があります。真っすぐで勝負して三振を取る、松坂さんのようなピッチャーになりたい」
 高校球界のナンバーワン右腕との呼び声が高い。直球はすでに最速百四十六キロをマーク。 高校二年秋の埼玉県地区予選(北川辺戦)では、 五イニングの十五アウトをすべて三振で抑える脅威のパーフェクト投球を演じたエピソードを持つ。 現在の持ち球は直球とカーブの二種類だけだが、これもケガなく直球を磨くことだけに専念してきたため。 中里の素質にめっぽうほれ込んだ春日部共栄高・本多利治野球部監督の教育方針と、 中里本人の思惑の一致が、プロへの門の扉をこじ開けた。
 素質に頼ることなく、地道な努力を積み重ねてきた。「入部したときはマッチ棒みたいな体だった」と本多監督が笑う。 高校一年の時は、百八十三センチの長身に対して、体重はわずか六十キロ。これを投げ込み、走り込み、 基礎トレーニングなどにより今では七十五キロほどになった。 しかも入部当時の球速は速くても百二十キロ強。三年間で二十キロ以上も速くなったことになる。
 「腕のしなり、ひじの柔らかい使い方が素晴らしい。まだまだ伸びる可能性を秘めている。最初は体づくりからだが、 中日ドラゴンズの大黒柱になってもらいたい」と掘江スカウトが活躍に太鼓判を押す。
 高校球児ならだれもが夢見る甲子園には縁のなかった中里。「甲子園組を含めて、プロの同期生は皆、ライバルです」 と闘志を燃やす。そして「読売の松井さんと対戦してみたい」。熱い気持ちは早くも二十一世紀のエースのそれだ。

『月刊ドラゴンズ』(二〇〇一年一月号)より