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--入団当時の紹介記事

画像 [名前]岩瀬仁紀 [出身]愛知・西尾 [略歴]寺津小→寺津中→西尾東高→愛知大→NTT東海
[生年月日]1974年11月10日 [趣味]競馬 [ニックネーム]ガンちゃん [生活信条]苦あれば楽がある [好きな食べ物]焼き肉、甘いもの [嫌いな食べ物]特になし [好きな色]青

岩瀬仁紀

 福留よりも一足早く九月二十九日に中日を逆指名したのがドラフト二位のNTT東海・岩瀬仁紀(24)だ。 いや、福留だけではない。 今季の指名候補選手の中で十二球団トップを切っての宣言。 愛知県西尾市に生まれ、気が付いたころからのドラゴンズファンがだれよりも早く夢をかなえた原動力だった。
 西尾東高時代は高三夏の県大会でノーヒットノーランを記録したほどの左腕。 だが愛大に入ると外野手に転向し、中日の先輩でもある神野の持つ愛知大学リーグ通算最多安打記録にあと一本と迫る百二十四安打をマーク。 三年秋から投手兼任で通算八勝という、いわば万能プレーヤーだ。
 社会人になって再び投手専業に。左腕王国の中日に、わざわざ逆指名までして入団したのは単にファンだったからというわけではない。 マックス百四十六キロの直球にスライダー、シュート、ナックルと変化球も多彩な自らの力を何よりも信頼している何よりの証拠だ。
 大学で一時投手から遠ざかっていたことは、肩の耐久性という意味ではむしろプラス。 「先発、中継ぎなどポジションは気にならない。星野監督にガンガン使ってもらいたい」 と一年目からフル回転を誓う岩瀬。

画像 [名前]小笠原孝 [出身]千葉・船橋 [略歴]三咲小→御滝中→市立船橋高→明治大
[生年月日]1976年11月29日 [趣味]音楽鑑賞、釣り、ゴルフ [ニックネーム]オガサ、タカシ [生活信条]特になし [好きな食べ物]肉類ならなんでも [嫌いな食べ物]ニンジン、ピクルス [好きな色]紫、青

小笠原孝

 即戦力の左腕は二位・岩瀬だけではない。三位の明大・小笠原孝投手(22)も左腕王国に胸を張って加わる。
 新人王・川上の一年後輩。川上が明大のエースだった時には、常に二番手を務めた。 大学時代の勝ち星では差を付けられている(川上は二十八勝、小笠原は十七勝)が、 一年上に大エースがいれば仕方ないこと。むしろ「憲伸さんがいてくれて、ボクの方が心強い」 と再び同じユニホームを着られることに大きな喜びを感じている。 利き手は違うが、九十七年春の東大戦では歴代二位の一試合十八奪三振と、 三振を取れる点でも川上と同じだ。
 三位という評価については「非常に光栄と思う。うれしすぎて、指名後数日間は何も考えられなかった」 というが、二位・岩瀬の話になると「プロに入った時(スタートライン)は同じ」と早くもライバル心をむき出しにしてみせた。 戦場のマウンドで、こうした闘争心が何より力になるのはほかでもない星野監督、 そして川上という先輩が実証している。
 星野監督は「二イニングぐらいならすぐ使える」と中継ぎとしての働きに期待する。 もちろん小笠原はもっと先をみているようだ。 「将来は憲伸さんと左右の両輪になりたい」。

画像 [名前]蔵本英智 [出身]岐阜・羽島 [略歴]竹鼻小→竹鼻中→県岐阜商→名城大 [生年月日]1976年5月9日生まれ [趣味]ラジコン、映画鑑賞、買物 [ニックネーム]クラ [生活信条]感謝の心 [好きな食べ物]ラーメン [嫌いな食べ物]グリーンピース [好きな色]紺

蔵本英智

 投手か野手か。ドラフト四位の名城大・蔵本英智外野手(24)はいきなりそんな選手生活の岐路に立たされそうだ。
 県岐阜商二年時には二番手投手としてベンチ入りしていたが、三年になって外野手専業に。 大学でも俊足、強肩の外野手として他チームから「蔵本がいたら打球が外野の間を抜けない」と恐れられた。 ただ自軍投手陣のふがい無さから三年の一月に投手兼業を志願。四年時のリーグ戦で登板も果たした。 目立った成績は残せなかったが、その登板の様子をビデオで見た星野監督が 「ピッチャーとしても見てみたい」とほれ込んでしまった。
 スカウトの評価としてはもちろん「肩と足に魅力のあるドーム野球に適した外野手」(二ノ宮スカウト)。 だが当の蔵本本人が「投手としてやってみたいという気持ちは十分にある」とこちらもしっかり色気を見せている。 可能性を試してみるならば未知の力も捨てがたい。
 最高球速百四十七キロを出したこともある快速球右腕か、ベース一周十三秒七の足でドームを駆けめぐる野手か。 才能のあるものだけが味わえる、ぜいたくな悩み。もちろんどちらでも 「一軍の第一線でやれる自信はある。野望はだれにも負けない」。 その気構えが何より頼もしい。

『月刊ドラゴンズ』(一九九九年一月号)より