ROOKIE'S FILE
--入団当時の紹介記事

画像 [名前]森野将彦 [生年月日]昭和五十三年七月二十八日 [出身地]神奈川 [出身校]東海大相模 [趣味]野球

「一年目から使う」星野監督が熱視点送る

 恋が実った。「中日が指名してくれることしか考えていない」。 こう言ってドラフト当日を待った東海大相模高・森野将彦内野手(18)。 同校校長室のテレビで二位指名を確認すると、喜びよりも緊張をあらわにして記者会見場に姿を現した。
 「バッティングが売り物なので、それを伸ばしていきたい。体さえつくれれば、すぐにでも一軍で」 初々しい緊張感とは正反対に、その言葉はよどみなく十八歳の口をついて出た。 自信はある。神奈川県相模原市の同校敷地内にある野球場。 両翼九十二メートルと決して広くないが、 外野フェンスの後ろには高さ八メートルの防球ネットが備え付けられている。 高校通算三十八本塁打のうちのほとんどをここで放ったが、そのネットに「当たった記憶はない」。 ネットを越え敷地外へ飛び出したというのだ。
 練習であまりに学校外へ打球を放つため「危険だから左へ打て」と田倉野球部長から注意された。 その練習の結果、高校三年春あたりから、左中間ホームランできるという副産物も生まれた。 ビデオを見た高畠打撃コーチが 「打つことに関しては直すところがない」と舌を巻いた。 星野監督も「一年目から使うぞ」と指名権獲得にニッコリ。 森野自信が「目標にする」という立浪以来、チーム九年振りの高卒新人即レギュラー。 プロのスカウト、コーチ陣の評価の高さからすれば、決して夢ではない。

『月刊ドラゴンズ』(一九九七年一月号)より