第158話
ガマの油と井上の犠打
「フフフ、最近は打撃好調で連日のスタメン、
自分が怖いくらいやで…!」
「今なら、何をやってもうまく行くような気がする!!」
牛島 vs 落合
17回戦
1
6
石井琢
2
4
藤田
3
9
金城
4
5
村田
5
8
吉村
6
3
内川
7
7
小池
8
2
相川
9
1
三橋
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
横浜
0
0
1
0
0
0
1
2
0
4
中日
2
0
0
1
0
1
0
0
4
1
4
荒木
2
6
井端
3
8
福留
4
3
ウッズ
5
5
森野
6
7
オチョ
7
9
井上
8
2
谷繁
9
1
中田
同点で迎えた9回裏、無死一塁のチャンスにバッターは
真の主砲・井上!!
「さあ、主役の登場や!!」
今のオレは何をやってもうまく行くで!
「カズキ、送りバントだ。しっかり決めろよ」
「……え?」
「…送り…バント?」
〜 口上 〜
「さあさ、お立ち合い。ご用とお急ぎでない方はゆっくり聞いておいで」
「場面はノーアウトランナー一塁だ。ここでバッター井上一樹。 ここで落合監督、
送りバントのサイン
を出してみた」
「するとどうだい、井上はベンチのサインを見てうち驚き、
たらり、たらりと油汗
を流す」
「これを柳の小枝をもって三七は二十一日の間、とろり、とろりと煮つめたのがこのカズキの油だ」
井上一樹、現役生活における通算の盗塁・送りバント数
年度
盗塁
犠打
1990
0
0
1991
0
0
1992
0
0
1993
0
0
1994
0
0
1995
0
0
年度
盗塁
犠打
1996
0
0
1997
0
0
1998
1
3
1999
2
0
2000
0
0
2001
2
1
年度
盗塁
犠打
2002
2
1
2003
0
0
2004
0
0
2005
3
0
2006
2
2
通算
12
7
井上一樹の17年間のプロ野球生活で、
送りバントの成功例は「7」
である。
これは、
8年間で4本の英智のホームランより、確率として、低い。
即ち、「井上に送りバントのサイン」は、「英智にホームランのサイン」 を出すことよりも、成功率が低いということなのだ!!
「行け。バントだ。」
「お、送りバババ、バントですね、はい!」
井上、人生8度目の送りバント成功ならず。
「だから…イヤやったんや…!」
解説者の中にたまに「送りバントも出来ないなんて」って言うやつがおるけど、 ホームラン打つより送りバントの方が難しいわ!!
ちなみに井上は1999年9月23日、 無死一二塁で送りバントを二度失敗、2ストライクからヒッティングにサインが変更になり、 3ランホームランを放っている。 相手は広島・黒田で、球場はナゴヤドームだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
なお、このとき井上が流した
“カズキの油”
は、ホームベース周辺の土と人工芝に染み込み、 この後にバントを打つ人の
打球のバウンドを変える
という効薬になっている。 現にこのあとのタニシゲの送りバントは成功したし、 試合を決めたのも10回の井端の送りバント成功だった。
「アイツが送りバント失敗したあとは、 誰がやってもバントが成功するべさ…不思議だべ」