第104話
井上、ガトームソンをねじ伏せる
選手時代
「我々選手会は、日本人選手の雇用機会確保のため、 外国人選手の出場制限をを断固要求します!! 外国人枠を厳しくし、日本人の出場機会を増やすことが、 日本野球のレベルアップにつながるんです!」
「あ…そうなの…?
じゃ、しょうがないね…。
本当はもっと外国人選手使いたいけど…」
監督就任
「打線には外国人を3人揃え、 投手はガトームソンとゴンザレスを10日おきに入れ替え!
フフフ、これで外国人枠制限を越えた5人の外国人を、フル活用できるぜ」
「ちょっと待てメガネ。」
外国人枠4名のルールの隙間を縫い、 古田ヤクルトはゴンザレス・ガトームソンを「2試合投げさせ入れ替え」を繰り返すことで、 事実上の“外国人5人”で回していた。
たとえば6月のこの2人の先発ローテは以下である。
6月01日
ゴンザレス
6月06日
ガトームソン
6月11日
ガトームソン
6月13日
ゴンザレス
6月19日
ゴンザレス
6月23日
ガトームソン
6月29日
ガトームソン
ゴンザレスとガトームソンを「2人で一人」と考えたとき、なんと1ヶ月に7試合も登板してくれるスーパー先発があらわれたことになる。 平均すると中4.1日! 2試合投げれば10日以上休めるゆっくりローテで、
事実上の「外国人5人」を実現
しているのだ!
あったまイー!古田さん!
「あの…
日本人選手の…出場機会の話は…?」
ヤクルト vs 中日
9回戦
1
8
青木
2
3
リグス
3
5
岩村
4
7
ラミレス
5
4
ラロッカ
6
9
真中
7
6
田中浩
8
2
米野
9
1
ガトームソン
1
4
森野
2
8
荒木
3
6
井端
4
3
ウッズ
5
7
オチョ
6
5
渡邊
7
9
井上
8
2
谷繁
9
1
朝倉
そしてこの日のヤクルト先発は、一昨日勝利を挙げたゴンザレスと
インチキ
入れ替えであがってきたガトームソン!
このガトームソンに、メラメラと対抗意識を燃やす男が一人いた。
「……!!」
話は6月23日、甲子園球場で行われた阪神−ヤクルト戦に遡る。
この日先発したガトームソンは、7イニングを無失点に抑え勝利投手に。
同日、ナゴヤドームにいた井上は試合に出る機会もなく
ヒマなので
ベンチ裏でテレビを見ていたわけだが、
甲子園でのガトームソンのヒーローインタビュー
を見てしまったのである!!
〜6月23日 甲子園球場VTR〜
「ガトームソン投手、勝利投手おめでとうございます!」
「ア・リ・
ガトー
」
(お…面白い!!)
このギャグセンス…早いうちに摘み取っておかないと…!
ガトームソンを“宿命のライバル”と位置付けた井上は、 移動日と雨天中止で空いた2日間、 落合監督から特別打撃指導をみっちりと受け、打倒・ガトームソンに備えたのだった!
「ガトームソンを打ち崩し、お立ち台で笑いを取るのはこのオレや!!」
井上、ガトームソン粉砕!
↑宿敵・ガトームソンから今季2本目(1本目もガトームソン)
のホームランを放ち、試合を決める井上
1
2
3
4
5
6
7
8
9
R
ヤクルト
0
0
0
1
0
1
0
1
0
3
中日
0
0
2
2
0
0
0
0
x
4
×ヤ3−4中○
「ウフフ…お立ち台では何て言おうかな…。
ガ倒・ダトームソン!…いや… 日本(ニホン)人の意地で、2本(ニホン)目を打ちました、とか… 待てよ…ご当地ギャグも入れたろかな… そうや、金沢だけに…ククク」
しかし、この日は9回から降り出した集中豪雨のため、 試合終了と同時にお客さんも中継スタッフもそそくさとお帰り、 お立ち台による
ヒーローインタビューは中止
となったのだった。
「インタビューまだー?」