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「……負けました。
.333じゃ、ピッチャーの負けです。小笠原さん」
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「……いや、僕の負けだよ、小笠原君」
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「え……?」
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「知ってるかい…。僕の月の小遣いは、ゼロ円なんだ…」
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「!?」
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「女房が財布を握っていてね…。
だから僕は、試合で活躍するともらえる『猛打賞』や『ホームラン賞』
だけが、唯一僕が自由に出来る収入なのさ。
キミは今日の試合で6イニング1失点。防御率も上がっただろう。
契約更改で年俸が上がれば、その分は小遣いに反映されるんだろう?
僕は…いくら年俸が上がっても…自分の小遣いが増えるわけじゃないから…」
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「お、小笠原さん!」
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「残念ながら今日の僕のヒットはただのヒット。
景品はもらえない。
だからキミの勝ちだ、小笠原君!」
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