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第10話
ゲバ菌19号の恐怖(1)
20世紀末から2004年オフまで、球界に一匹のゲバ妖怪がいた。
ゲバ妖怪はコードネーム“ゲバゲバ19(ナインティーン)”と呼ばれ、
セ界に恐怖と経済的不景気を呼び込んだ。
「カネよこせゲバー」
「働いた年はカネよこせゲバー」
「働かない年も金よこせゲバー」
「カネよこさないとメジャー行くゲバー」
「ファンサービス料よこせゲバー」
「オリンピック手当ては別封でもらったけど、その他に『イメージアップ料』よこせゲバー」
「ダウン査定はボクをいらないということ」
「たったこれだけのアップじゃボクをいらないということ」
「ボクの要求するカネを出さないってことはボクをいらないということ」
「とにかくいいからカネよこせゲバー」
その理屈、全くメチャクチャ。
働いたらカネよこせ。それはいいとして、働かなくてもカネよこせ、
「新人から今までトータルの数字でカネよこせ」「チビッコにサインしたからカネよこせ」
「五輪出場手当てを(NPBから貰ったやつとは別に)球団からもよこせ」
「宣伝料よこせ」。
とにかく何でもかんでもカネに結びつける。
あの怪獣カネゴンが師匠と呼び崇拝するほどのカネ食い妖怪、それが“ゲバゲバ19”なのである!!
そして、2005年オフ、球界を衝撃が走る!!!
2005年オフ、ブラック・ジャイアンツ契約更改
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「一発サインするゲバ。」
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「えっ……?」
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「今年の成績でボクから言えることはないゲバ。球団提示でOK。一発サインするゲバ」
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「あの……本当にいいんですか?ポスティング要求とかしないんですか?」
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「そういうおカネを吊り上げる駆け引きみたいなことは嫌いだゲバ。
実力でお給料が上がるよう、来季はチームのために頑張るゲバ」
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その日のうちにブラック・ジャイアンツ球団事務所には救急車が呼ばれ、
コードネーム“ゲバゲバ19”は大学病院に搬送され、最新の科学治療器で精密検査を受けた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして世界中から研究者が集まり、数百回における検査を繰り返し、一つの結論を出した。
「“ゲバゲバ19”君の中の、体内中のゲバ菌がなくなっている」
どういう経緯で無くなったかのは不明だが、
毎年血液検査のたびに彼の血液中に大量に発見された“ゲバ菌”が、
忽然と消えうせたというのだ。(!)
科学者の一人は言う。
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「ゲバ菌は長年の研究で“決して死滅することはない”ことが証明されています」
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「じゃ、じゃあ一体どういう事なんでしょう!?」
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「おそらく…宿主を替えた」
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「宿主!?」
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「ゲバ菌を寄生虫のようなものと考えてください。今、上原…じゃない、ゲバゲバ19くんの中に入っていたゲバ菌は、
新しい宿主を見つけて、そっちに寄生したのです」
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「すると…どこか別の場所で…」
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「そう。あらたなタチの悪いゲバ選手が、どこかで誕生してるということです。
上原くんと親しい関係者の、誰かに……」
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衝撃のゲバゲバ妖怪・一発更改!
果たして、彼の体内から離れたゲバ菌はどこにいったのか!?
このオフ、落合一家を恐怖の細菌が襲う!!
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