第8話

ひとときの休息
〜湯けむり&太地の旅〜


 秋の沖縄秘密特訓を終え、戦士たちにひとときの休息が訪れた。

 そして落合親分は、悪人どもの目を逃れ、 秘密のアジト に潜伏していた!

ドドーーーン!!

秘密のアジト

↑ 秘密のアジト



フックン 「パパ、ここに来るにも久しぶりだね!」

「こういう仕事をしてると、いろんな悪人に狙われるだからな」 落合親分

フックン 「ここは安全なの?
 虎の一味に狙われたりしない?」

「フッ、考えてもみるだ…」 落合親分


落合記念館マップ


「この最寄り駅からの遠さ…
 そして大人2000円という入場料…!
 誰がこんなところに来る…?」
落合親分

フックン 「…………」

「ましてや虎…!
 許されるはずがない…そんな予算…!
 世の中…不景気だからな…!」
落合親分

フックン 「パパ…この記念館の不景気はどうするの…?」



 訪れる人もまばらな和歌山の海沿い。 落合親分はオフの間、ここに身を隠し英気を養う。 それは、激動の2006年を全速力で駆け抜ける猛き竜の、 ひとときの休息だった。



☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 そして、マスコミに重い落合親分の口が、 酒・温泉・家族の3セットで軽くなる。

フックン「そういえば、今年は、優勝しなかったね」

落合親分「うん。何と申しましょうか、だべ…」

ノブタン「一所懸命やった結果だから」

落合親分「でも強くなっただ。去年より今年の方が強いだ」

ノブタン「交流戦落としたチームが…」

落合親分「負けるって言ったべ」

ノブタン「その通りになった」

落合親分 「20勝に一番に到達して、11の貯金もって交流戦行って、 軽い気持ちで行ったっていうのは、 選手の中にはあったべな。こっちはメチャメチャ心配してただ」
落合鍋

落合鍋

落合鍋

落合鍋
ノブタン「虎、最後まで抜けなかったね。あれ、抜けない要因ってなぁに?」

落合親分「いやあ…ケガ人よ。予想外のケガ人が多すぎただ」

ノブタン「その前の年は、あまりケガした選手いなかった?」

落合親分「いんや、いたけっど、主力にはケガいなかったべ」

ノブタン「じゃ、大きいじゃない」

落合親分 「去年と今年の一番の違いってのはな、大敗するゲームが少なかったことだ。 負けてて、ああ今日は(負けで)しょうがねえべ、ってやつを最後まで追っかけた。
大敗だったらこいつは使わなくていいのになァ、って思うピッチャーをやっぱり、 一人二人、使わなくちゃいけない。
そのしわ寄せが…最後に、来たかなあ……」

 親分の目が遠くを見つめた。
 「なんか勝てそうな感じだったから、負け試合でも頑張っちゃった」

 確かに、いっぱいあった、そんな試合。

 去年は早い回で先発がKOされると、 「負け試合だし、若い投手に経験を…」 というつもりで投げさせた石井裕也や鈴木義広が思いのほか好投、 ゲームを壊さず終盤につなぎ、いい勝負になってしまい、 負けてるのについつい岡本・平井を出してしまう、という場面が多々あった。

 しかし「ぶっちぎ竜」の今年は大丈夫!
 先発が早い回にKOされたら デニーを出せばいい のだ!
 デニーなら、「負け試合のはずが、気が付いたらいい勝負になってる」なんて事は、まずない。
 適度に失点しながらイニングを消化する、 理想的な敗戦処理の匠の技術を持った男、 それがデニー友利、ローレンス・フランクリン・デニーなのだ。


つづく

ぶっちぎ竜