中日開幕2連勝、そして牛島ベイスターズは開幕2連敗。 ベイ的には、 ちょっとした展開のアヤで2連敗が2連勝になってもおかしくない試合だった。
第1戦
第2戦
「9回表まではうまく行ってるんだよなあ…」 「…監督、ササキさんの事を言ってますか? でも、ササキさんは抑え限定で使う契約になってて…」 「何とかならんかなあ…」 「オーナー命令ですから、こればっかりは」 「9回表まではうまく行ってるんだよ」 「………」 何事かヒソヒソ話の牛島監督と野村コーチ そして迎えた第3戦! 中日は先発にルーキー中田をもってきたが、 5回の谷繁のキャッチミスからガタガタと崩れ、 試合中盤で流れは大きく横浜に傾き、9回、 ついに牛島ベイの初勝利まで「あと一人」となったのである! 第3戦
9回2アウト、あと一人!点差は8点!! ここで牛島が動いた!! 「ピッチャー・ササキ!」 「か、監督!本気ですか? 何の意味があるんですか、この継投に?」 「野村コーチ。去年、ササキが引退を決意したきっかけは何だった?」 「えっ…、8月の中日戦でサヨナラ負け、次のヤクルト戦でサヨナラ負けと、 2試合連続救援失敗したとき… ハッ!?」 「…2試合連続救援失敗で引退か…。プライドの高い男だな、ササキという男は」 「か、監督!まさか…」 「…フフフ、別に深い意味はないよ。抑えればササキに取って自信になるし、 打たれれば…」 「な、なんておそろしい人だ…これが…“浪商の牛島”…!!」 「…8点差でピッチャー・ササキだと?」 「…そう来たか…牛島…」 ラストバッター・森野は、対ササキ対策として中日には 「基本は待球・フォークは振るな・ストレートだけを狙え」 の3か条が浸透しているはずにも関わらず、 全くやる気のない3球三振で、試合を終了させた。 マウンド上ではササキが満面の笑みで相川とガッチリ握手、 「俺のストレートはまだまだ通用するぜ!」 とでも自信を深めたのだろう。 三振をしてベンチに引き上げる森野に、落合監督は「ウン」と満足そうに頷いた、 ように見えた。
「…チッ。」 「バレてましたね、向こうの監督には…」 落合vs牛島。タヌキとキツネ、策略家同士の争いは、始まったばかりだ。
(ムジナ記者)
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