タカマサ、夢敗れてススキノ無し 秋田の2連戦が終わり、これから次カードの広島に移動しようという時。 連勝に意気をあげる名古屋一家の中で一人、異様に意気を上げる男がいた。 「これは…何の音だ?」 「この地の底から噴出してくるような奇怪な音は!?」 「まるで悪魔の哂い声だ!!」 そして、その音はしだいに高まってくる。近づいてくる! 「あれだ!」 「音の発信源は、あいつだ!」 (写真は言うまでもなく合成) 鈴木タカマサ チーフ投手コーチだった。
名古屋一家は6月22日〜24日、対読売戦で札幌遠征が組まれていた。 そう! タカマサは現役時代から知られたススキノ好き。 引退して解説者になってからも、札幌で中日の試合が行われるときは、 無理やり解説の仕事をネジ込みススキノ遠征に帯同したという“剛の者”だ。 (※オレ流を探す旅 『流汗悟道』 参照) そのタカマサが、待ちに待ったススキノ遠征まで、あと1週間と迫っていたのである!
この日、タカマサコーチは広島行きの飛行機チケットをキャンセル、 陸路で名古屋へ帰った。 伏線は、あった。 もともとは 「1ピッチャーに1コーチ。複数のコーチが一人の選手を指導するとおかしくなる」 というのが落合親分の持論。 このところ、タカマサコーチが指導している平井・ドミンゴ・野口と、 1軍投手が大量に予備軍に落ちている。 そして、下からは山北・小笠原ら「夏用戦力」が上がってくる。 既に1軍で働いている朝倉・岡本・石川らも含め、 彼らは予備軍で調整を指導してきた近藤コーチの管轄だ。 以下は3月2日、オープン戦が始まったころのスポーツ紙に掲載された記事である。
3月。既にこの時点で元締めは、「ピッチャーの入れ替えが激しくなってきたら、 コーチも入れ替える」旨を宣言している。 今は1軍投手陣が揃って2軍に落ち、投手陣の入れ替えが著しい。 そこで「2軍投手陣をよく知ってる」近藤コーチを上げるための入れ替えであり、 決して降格人事などではない、適材適所を考えた「落合式」の配置転換なのだ。
札幌遠征まであと1週間。 思えば、キャンプではタカマサは「川崎の復活」を自分のテーマとして掲げていた。 「オレは現役時代、故障で速球派から軟投派に転向し、カムバックした。 川崎よ、投球術を覚えろ。オレがお前を復活させてやる!」 と、調子のいい言葉で“川崎復活”を公約した。 同じように 「今中を再生できなかったらオレはコーチを辞める」と宣言していた山田久志コーチ (当時)が、 結局今中を再生できず、さらには公約を果たすどころか今中引退のあと元締めに就任し、 その後一家が転落の一途をたどったのは周知の通り。 今、タカマサが「男子の約束」の履行を迫られる。 タカマサの、コーチ生命(ススキノ生命)をかけた、真剣指導が始まるのだ!!
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