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今から17年前、当時オレがいた読売は日本シリーズに進出し、
相手は西武ライオンズだった。
そのときの話を聞きたいか?
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長話にならない程度に、是非聞きたいです!
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あれは2死一塁で西武の攻撃だった。
西武・秋山さんの放った打球がセンター前にポトリと落ちる。
ヒットエンドランがかかっていたため一塁走者の辻さんは三塁まで行った。
すると、そのまま三塁を蹴って、一気にホーム突入、
ダメ押しのホームを踏んだしまったんだ。
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ああ、伝説の「クロマティの緩慢送球」ですね。
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世間的にはそう言われている。ところが、このプレーで
悪いのはクロマティじゃないんだよ。
問題は内野守備にあったんだ。
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ええっ、何ですって!?
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クロマティが山なりのボールを返したとき、
中継のカットマンが走者の辻さんを見てなかった。
三塁へ走る辻さんに完全に背中を向け、バッターランナーに
気を取られてたんだな。
辻さんはそれを見て、
「カットマンがこっちを見てない!」
と思い、三塁を蹴ったんだ。
あのとき辻さんは、クロマティの返球を見たから走ったんじゃない。
カットマンの緩慢な動きを見て、本塁突入したんだ。
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分かりました! ボクも
その時の川相さんのように、ヘタクソなポジショングでゲームをぶっ壊す事のないよう
気をつけます!!
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……う、うん。まあそういう事だ。
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そして、それから17年!!
仕置きシリーズ第5戦。
3回、1死ランナー無しから荒木の打球はライトオーバー。バッターランナー荒木が一塁を蹴ると、
ライト和田がクッションボールをカットマンの中島へ返球。その瞬間!!
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中島君がこっちに背中を向けている!
17年前の川相さんと同じだ!!
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荒木は中島の動きから目をそらさず、すかさず二塁を蹴って三塁へ!
レフト方向を向いていた中島が二塁方向を向き、荒木の走塁に気付いたとき、
中島の体は投球体勢とは逆向き。
体を入れ替えあわてて三塁に投げたが、送球が高目に浮き、
荒木はまんまと三塁を陥れたのだった!!
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フフフ、若いな、中島君!!
ランナーが走ってるのに、ランナーも見ないで
カットするカットマンがいるかよ!!
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……。
(←いた。)
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この荒木の川相を悪いお手本とした好走塁による3ベースで、
つづく井端のショートゴロの間に名古屋一家は貴重な先制点をたたき出し、
投げては川上が西武打線を8回1失点に押さえ、シリーズ対戦成績を3勝2敗とし、
天下統一にリーチをかけたのだった!
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
R |
名古屋 |
0 |
0 |
1 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3 |
6 |
西武 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
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☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
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よく分からんが、荒木が
「今日のMVPは川相さんですよ!」
と力説するので、川相、監督賞はお前にやる。
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……いや、いらないです…。
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