川上、迷宮の果てに 4月4日(日) ○中日−広島× 「まただ…。投げても投げても…試合が終わらない…。この道は何処まで続いているんだ…」 川上は迷宮のラビリンス(※意味同じ)を彷徨っていた。 「この回を抑えれば、味方が点を取ってくれるはず…」 「この回を抑えれば、味方が点を取ってくれるはず…」 「この回を抑えれば、味方が点を…」 「この回を…」
何度目かのデジャ・ヴュ。 「ああ、このバッター、見たことがある…。さっき対戦しなかったっけ…。またやるのか…」 「また前田さんか…。このチームには前田智徳が何人いるんだ…」 「いったい、いつまで続くんだ…」 「いったい、いつまで…」
無限回廊をさまよう川上 打者五巡、11イニングで43人のバッターを相手に川上はたった一人で投げ続けていた。 終わらない試合。 そして33個目のアウトを取ったところで、 その裏、同点のまま川上は代打を出された。 薄れていく意識の中、川上の目には、代打の川相が送りバントを決める場面が映った。 「疲れた…。もう眠い…」 川上は意識を失った。 数分後、大歓声が眠りについた川上を叩き起こした!! 「立浪のサヨナラだぁーーー!!」 「延長11回裏、立浪のサヨナラタイムリー!」
「立浪さぁんっ!!」 一塁ベース上でもみくちゃにされる立浪。その輪の中に川上もいた。 勢いあまって川上の帽子が飛ぶ。 「け、憲伸!お、お前その額!?」 「い、いつの間にそこまで!」
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