川崎、初陣に散る 4月2日(金) ○中日−広島× ちゅんちゅん…ちゅんちゅん…。 天気は朝から快晴。絶好の開幕日和だ。 川崎憲次郎は、例年になく清々しい気分でこの日の開幕を迎えていた。 「よし、行くぞ!」 もがき苦しんだ3年間。 古巣・ヤクルトファンからは裏切り者と罵られ、 新しい仲間であるはずの中日ファンからは役立たずと呪いの言葉をかけられる。 投げたくても投げられない。何度引退を考えたことだろう。 しかし、このまま引き下がっては、取ってくれた中日に、 何の恩返しもできないことになる。 「俺の3年間を、取り返すんだ!」 川崎は復活に向けての一歩を、確かに踏みしめた。 「晴れ舞台だ!!」 3年振りの戦場。川崎が意気揚々とその地に足を踏み入れた、その直後だった! 「だ、誰だ、オマエは!?」 「名乗るほどのもんじゃないコイ!」 バサッ、バサッ 「うぎゃあああああ!!」 「元締め!大変です、元締め!」 「どうした?」 「川崎が殺られました!!」 「なにっ!まだ登板してから2イニングも立ってないぞ!?」
↑ 川崎 「1回1/3、5安打5失点、即死です」 「ひでえ…ひでえことしやがる…。復活に燃えてた川崎を…」 「武士の情けって言葉は知らないんでしょうか」 「許せねえ、許せないぜっ!鯉組のやつらっ!!」 「許せねえっ!」 「川崎さんの死を無駄にするな!」 怒りにふるえる名古屋一家。 まずは川崎の死に水を取った遠藤が鮮やかな2人斬りで後続を断つと、 続く川岸・紀藤・久本・岡本が合わせて6イニングを0封! その間、打撃陣も 「川崎さんの死を無駄にするな!」 とばかりに天敵・黒田から8点を奪い大逆転!! 罪もない川崎を惨殺した血も涙もない鯉組は、その報いを受けたのであった。
翌日、川崎は1軍登録を抹消された。 |