年末企画・それペナ98選定
ドラゴンズ十大ニュース!
〜はじめに〜
「 ところでワンクエスチョン、即ち一つの質問があるのだが」 「 何でも訊くがいいさ。『訊くは一時の恥、訊かぬは一生の恥』だよ」 「 いずれにしても俺は恥をかくというわけだな。 生き恥をさらすとはこの事か」 「 恥まみれのお前など誰も見向きはしないよ。 気にせず何でも訊くがいいさ」 「 そうか。なら訊くが、 これから九十八年のドラゴンズを振り返るという話だが、 本当か?」 「 恥をかいたなハブさん。君の勇気に乾杯だ。 まあ取りあえず年末という事で、 今年の十大ニュースなどやってみようというわけさ」 「 大晦日にネタがないときの民放やっつけ番組でも気取ってみようというわけだな。 それはいいのだが、俺が訊きたいのは別の事で、 中日はおろかプロ野球の事すらよく知らない俺が ここにいるのは何故なんだ?」 「 二度目の質問とは、二度恥をかいたなハブさん」 「 やや、しまった。俺とした事が一日に二度も恥をかいてしまうとは、 いささか恥のかき過ぎのような感じだよ」 「 なあに、旅の恥はかき捨てというからな。 意味は知らないが」 「 それもそうだな。俺も意味は知らないが」 「 では、納得したところで今年の十大ニュース、行ってみよう!」 「 行ってみよう!」
四月十一日(土) 李、二打席死球!
○中3−2ヤ● 野村ヤクルトが、絶好調中日・李の破壊に乗り出した。 この日の李は第三打席でに伊東に、第五打席では広田に死球をぶつけられる狙われ振り。 大西・神野の死球には我慢していたセンイチ君もさすがに爆発、 「四つ目やぞコラ!」とベンチを飛び出しビビる古田に追い込みをかけた。 試合は野口の好投で中日勝利。試合後、冷静を取り戻したセンイチ君は、 「李には厳しく来るわな…。ま、ウチも行くけどな」 と物騒な喧嘩上等宣言。この日から古田の眠れぬ夜が始まりそうだ。 (古田に追い込みをかけるセンイチ軍団)
「 おお、それはいいな。さっそく連盟に提案を」 「 冗談だ。そんな事をしたら中日はピッチャーがいなくなって 試合にならないじゃないか」
四月十四日(火) 趙、一触即発
●読2−3中○ 「趙の教育係は何を教えてるんだ!?」。 そんな言葉が思わず読売ベンチから飛び出しそうな読売五回裏の攻撃、 元木の遊ゴロに三塁ランナー・趙がホームに突っ込み、 よりによってセンイチ軍団の斬り込み隊長・中村タケシに アメフトばりのタックルをかますという命知らずな走塁を見せた。 判定はアウトになったものの、隊長への挑発にセンイチ軍団は一斉に飛び出し趙を包囲、 両軍入り乱れての騒動になったが、ここは何とか事なきを得た。 しかし、この日二打数二安打とバッティング絶好調だった趙、 次の打席にはきっちり代打を出されるなど、 中村隊長による血の報復をうまく逃れたのはしげお君のこの日一番の好判断。 試合は益田のタイムリなどでドラゴンズ勝利、単独首位に。 (趙に追い込みをかけるセンイチ軍団)
「 わざわざケガしに行ってるようなものだな」 「 しかもタケシに」 「ケガが倍になるな。 『タケシをつついてセンイチを出す』 という日本のことわざを知らないのか。 読売は選手に何を教育してるんだ」 「 でも、日本語は得意らしいぞ」 「 長嶋よりもか?」 「 長嶋よりもだ」
四月十六日(木) 中日、連敗
○読3−1中● 読売の先発ガルベスが三回、中日・李の頭部へデッドボールを一発。 前日の山崎への死球には仁志を破壊した後ろめたさから 我慢していたセンイチ軍団だが、この一発には怒り心頭。 「何やっとんじゃコラぁ!」 とベンチから一斉に飛び出したが、 ガルベスがそそくさとベンチに引っ込んでしまったので、 仕方なくキャッチャーの杉山を追い込みに。 この一球でガルベスは危険球退場となったが、 中日打線はその後かわった三沢・平松・西山・野村に手もなくひねられた。 (杉山に追い込みをかけるセンイチ軍団)
「 新コーチの水野が『審判にぶつけようとしたのはガッツの証明だ』 とか言ってガルベスをフォローしてるそうだ 」 「 …それはフォローなのか? 」 「 まあガルベスがいればいたで、いい事はあるがな 」 「 まず、山崎が死球を受けて 」 「 報復に古池あたりが松井の手首をヘシおって。 うむ、一石二鳥とはこの事だな 」 「 待て。松井のリタイヤはいいとして、一石二鳥のもう一つは何だ? 」
五月十日(日) 渡田主審の援護射撃で読売辛勝
読○3ー2中● 九回、中日一点ビハインドで神野のライト前のヒットに二塁走者・大西が同点のホームイン。 しかし、読売捕手・村田が既にベース上に置かれている大西の手に慌ててタッチすると、 読売十人目の選手・渡田主審 がすかさずアウトをコール。 怒ったセンイチ君はベンチから飛び出し渡田主審を追い込みにかかったが、 判定は覆らず、中日は対読売戦二連敗を喫した。 このVTRでも明らかなミスジャッジに試合を中継していた日本テレビ解説者の掛布雅之は、 「村田の素晴らしいブロックでした」と解説するなど、 今年から 読売の試合に限りブロックさえしてればタッチが無くても走者はアウトになる 新ルールが暗黙の了解としてあるようで、 セ・リーグ他五球団に驚異を与えている。 (渡田主審に追い込みをかけるセンイチ軍団)
「 ほうほう、サルとヒトは一緒なのか。 すると、サルが進化すればいずれはヒトのようになるのか? 」 「 それが、二十世紀になって新たな事例が発見されてな。 ダーウィンの進化論は完全に覆された 」 「 何だって。それはすごい発見だ。サルは進化すると何になると言うんだ? 」 「 犬になるんだよ。 阪神のサルは引退して、読売のイヌになった 」
五月二十六日(火) 川尻、ノーヒットノーラン
神○2−0中● 阪神先発・川尻ののらりくらりとしたピッチングに竜打線は手も足も出ず、 七十三年江夏(神)以来実に二十五年振りのノーヒットノーランの屈辱を喫し、 センイチ君の故郷・倉敷での凱旋試合を思い出深いものにした。 中日は二十三日に北川(ヤ)に完封リレーを決められたのに続き、 二試合続けておつとめ帰り のピッチャーに完全にやられた事になり、 脱税震源地として迷惑をかけた選手への社会復帰サポート に大きく貢献だ。 おめでとう、川尻投手
「 ほう、ヒゲというものは通常朝起きたときに剃るものだと思ってたが、 試合後とはまた随分夜も遅いだろうに 」 「 関川からヒゲを取ると何だか小動物みたいなってしまい、 ヒゲのある無しで随分違うものだと思ったよ。 今、読売の入来(弟)がヒゲを伸ばしてるみたいだが、 バッターを笑わせてまともなスイングが出来ないようにしようとは、 なかなかの智略家だな、入来(弟) 」 「 プロ野球選手の場合、ヒゲをはやしてるのはキャッチャーに多いな。 昔の村田(読)とか、谷繁(横)とか 」 「 たった二つのサンプルで『キャッチャーに多い』と言い切る貴様に乾杯だが、 中村タケシもヒゲなどはやせばいいのにな 」 「 おお、それは名案だな。タケシにヒゲか 」 「 ……… 」 「 ……… 」 「 貴様、今鼻の下にチョビ髭を想像したな? 」 「 貴様もか。ダメだ、これでは駅前喜劇に出てくるダメ課長だ。却下、却下 」 「 どうやらお互いに『タケシにヒゲは似合わない』という結論に達したようだな。 では、次のニュースにうつろう 」 「 川尻の話はあくまでしたくないというわけだな。よし、次にうつろう 」
六月十八日(木) 中日、再び首位に
読●8−10中○ 今中・槇原の両先発が序盤から目の覚めるような崩壊ぶりで、 四回を終わり七対六と乱打戦となったこの試合、 読売一点リードながらも 継投勝負の気配に読売敗色濃厚の雰囲気を察したニ塁塁審・渡真利 は七回に李のレフト前ツーベースを得意の読売戦限定ジャッジでアウトにすると、 九回にはゴメスのきわどいとかそういう問題でないバックスクリーンへのホームランを フェア(非スタンドイン)と判定するなどやりたい放題。 センイチ二度目の猛抗議に青くなった 判定の辻褄合わせには定評のある田中責任審判 (六・七日の記事参照)がさすがにここは冷静な判断で、 審判団協議の上判定はホームランに覆った。 またもや中継ぎ陣が崩壊し逆転負けを喫した読売だが、 試合後には早速堀内ヘッドが一軍・二軍の投手入れ替えを示唆しており、 西山・三沢に続く次の犠牲者選び には昨年使い潰してリハビリ中の便利屋・入来の名が。 (センイチに説教される渡真利塁審)
「 …くび…くらい? 」 「 『中日、再びくびくらいに』か。 漢字はしばらく見ないと読みを忘れてしまうというが、 俺ももの忘れの激しくなったものよ 」 「 このときの渡真利のジャッジは珍プレー好プレーで何度も流されるから、 今でも鮮やかに脳裏に浮かぶな 」 「 センイチのときにミスジャッジをすると、 ミスの決定的瞬間とセンイチに説教されてる情けない映像が一年中流されるからな。 センイチがド派手なアクションで抗議するのは、 プロ野球ニュースや珍プレー好プレーで取り上げてもらい、 審判が二度とインチキジャッジをしないように牽制してるのさ、 と思うのは考え過ぎかい? 」 「 考えすぎだよ 」
八月二十七日(木) 竜猛追!横浜に一差!
○中4−0読● 初回からいきなり川相の明らかなスリーフィートオーバー走塁をセーフにした 未だにメークミラクルを手助けしようとする諦めの悪い酒井三塁塁審 をすかさずセンイチ君が追い込みに。 センイチ君はおよそ十分に渡り酒井塁審に説教をくれたあと、 回が終わってから更にもう一度三塁に行き説教する事で、 井野球審に見えないプレッシャーを与え牽制。 さらにセンイチ君は、 選手が怖がるからやめてくれと宮田コーチに言われて自粛していたマウンド行き を三回と六回の二度に渡って敢行、 山本昌に説教をいれピンチを三振で切り抜けさせるなど シーズン終了後に行われるであろう「ドラゴンズ優勝特番」を意識した自分の画像作り にも余念がなく、山本昌→落合→宣の盤石の完封リレーで読売を下した。 首位・横浜は阪神に二連敗、ゲーム差は一に。 センイチに説教される酒井塁審
「 横浜に三タテを喰らってからはまさに櫛から歯が抜け落ちるようだったよ 」
九月四日(金) 首位決戦、緒戦は横浜に
中●2−5横○ 「横浜は(打線の)バブルでここまで来た。それが弾けるかどうかや」 と 誰もが思っていながら遠慮して言わなかったその言葉 をついに口に出し、打撃力のみ でここまで来た横浜を挑発したセンイチ君だが、 首位攻防三連戦の第一ラウンドは一対一のまま延長戦に入り、 落合が自らのエラーからガラガラガッシャンと音をたてて自滅、 投手力のみでここまで来た中日のバブルが弾けた格好となった。 これで首位・横浜とのゲーム差が「三」と拡がった中日だが、 センイチ君の意気込みがあらわれたのは四回、 走者・中根とキャッチャー中村の本塁突入クロスプレーで きわどいが間違いなくセーフである判定に、 主審が友寄だという理由だけで「アウトだろ!」と猛抗議、 この三連戦における審判団の心構えをきっちりと叩き込むのだけは忘れなかった。 センイチに心構えを叩き込まれる友寄主審
「 転がる石のように 」 「 雪崩れる雪のように 」 「 体力を使い果たしたマラソンランナーのように 」 「 命綱のきれたロッククライマーのように 」 「 中山の直線で馬群に沈んでいくシルクジャスティスのように 」 「 それでも、生きてゆかざるを得ない 」 「 待て、命綱の切れたロッククライマーは死ぬんじゃ 」
十月三日(土) 彦野、引退
中○2−1神● 今季ナゴヤドーム最終戦は、十六年間の現役生活に別れを告げる 歌う勝負師・彦野の引退ゲーム。 横浜戦で大事な場面で 李のいるレフトへ連打されるようなリードで試合をぶち壊した 中村タケシがセンイチ君にシメられた関係で、今日のスタメン・マスクは中野。 その中野・川上の若いバッテリが打つ方では連続タイムリで二点を奪うと、 投げても阪神打線を四安打一失点に抑える活躍、ホーム最終戦を勝利で飾った。 彦野は先発スタメン一番センターで出場し、 一打席をショートゴロで現役生活にピリオドを打った。 十六年間戦い続け、歌い続けたその雄姿を忘れはしない。 お疲れ様でした、彦野選手
「 ♪二塁を盗めばタツが打つ〜 」 「 ♪三塁コーチャー手を回せ〜 」 「 ♪四万観衆息を呑む 」 「 ♪いいぞ頑張れ彦野様〜 」 「 ♪燃えよ彦野様〜 」
〜おわりに〜
「 自画自賛というわけだな。 貴様のような手抜き野郎は初めて見たよ。 ところで、十大ニュースということだが 」 「 ギクッ! 」 「 九個しかないのはどういうわけだ? 」 「 あ、ああ。そ、それはな…そ、そう、 今までのは十位〜二位、つまり首位をわざと外しているのだ。 首位の座は空白、即ち『該当ニュース無し』という事だ 」 「 どうして? 」 「 ドラゴンズ十大ニュースの栄光ある首位は、『ドラゴンズ優勝!』 でなくてはいけない。それ以外のニュースなど首位の価値はないのだよ。 ドラゴンズが優勝するそのときまで、首位の座は空けて待っているというわけだ 」 「 なるほど、そんな深い思慮があったのか。 俺はてっきり、ニュースを選ぶのが面倒くさいから写真つきのニュースだけピックアップして、 それが九件しかなかったというまさに手抜き男としか言いようがないダメ理由かと思ったよ。 すまなかった。ちょっとでもお前を疑った俺を許してくれ 」 「 き、気にするな。アハ、アハハハ」 |