アメリカ超能力部隊『新地球軍』には 「キラキラ眼力」という恐ろしい殺人術を持った男がいるのです! 「キラキラ眼力」というのは、見つめるだけで相手が死んでしまう能力の事です。 能力者はジョージ・クルーニーで、 見つめる瞳がキラキラしているからキラキラ眼力です! (この時点で「このテキスト読むの止めよう」と思った人が三十万人くらいいると思いますが、 正解です!)(今日のテキストはいつも以上に読んでも何の実にもならないので、 こんなの読んでも時間の無駄なのでテレビでも観ることを強くオススメします!) キラキラ眼力の持ち主・ジョージは、 『新地球軍』に入るまでは、いや、 入った後もしばらくは、 自分の感情を表に出さない、よく言えばクールな男、 悪くいえば陰気な男だったんですが、 軍のトレーニングの一貫であるダンスをきっかけに「目覚める」ことになります。 入隊したてのジョージは上官に「もっと自分を開放しろ!」 と命令されるんですが、 小学校のフォークダンスで女子と当たった男子のように、 チマチマやる気なさそうに踊ってるんですね。 でも上官のある一言がきっかけで、 ブチ切れたように「イエーッ!愛してるぜ!ロックンロール!」 と激しくツイスト&シャウトするようになるのです! イエーッ! それまで内向的だった人間が、ちょっとしたことではっちゃける。 そういう事ってありますよね!(なかったらいいです。『コクリコ坂』でも観て下さい) 僕の場合は初めて一人で神宮球場に行ったときがそうでした。 僕はそれまで、「外野で大騒ぎしてる野球ファンって何なの? ただ騒ぎたいだけなの? それより試合をしっかり見ようよ!」 とか思うようなノリの悪い人間で、 初めて神宮球場に行ったとき外野自由席で周りが立ち上がって 「かっとばせー!やまさき!」 とかやってるときも、 一人で腕組みしながらフィールドを睨んでるような男でした (一九九〇年代中盤ですね。当時は今よりは立って応援する人は少なかったでした)。 でも心の中では思ってたんです。「みんなと一緒に大騒ぎしたいなあ」と。 でも、一人だし、一人で大声出すのはすごい勇気がいります。 ああいうのは友達と一緒だから出来るもので、一人でやるのはちょっと恥ずかしい。 “照れ”があったんですね。 だから僕は「群れてるからって大騒ぎして、 一人じゃ何も出来ないくせに、バッカじゃないの! もっと静かに野球を観ろよ!」 とか思ってたんですね。そう思う事で、 座って観戦している自分を正当化してたんです。 「あんな大騒ぎは馬鹿のやることだ。俺は騒ぎに来てるんじゃなく野球を観に来てるんだ。 俺はクールに野球を“観戦”する!」って。 初めての神宮観戦はそんな感じでした。 だから勝ったあとスタンドでみんなで一番〜九番までの応援歌を合唱する“二次会”にも 入って行けなくて。 「俺はそういうキャラじゃないから」とみんなの輪に入る事を拒んでたんです。 でも、ひとり家に帰ってから今日の試合を思い出してみると、 頭の中に浮かんでくるのは「あそこでやまさきが凡退したなあ」 「あそこで立浪がトンネルしたなあ」「あそこでサトヤスが打ち込まれたなあ」という試合の内容よりも、 「外野で声出してるみんな、楽しそうだったなあ」って事でした。 二回目の神宮観戦、これも一人観戦でしたが、 応援団のリードの声に僕は意を決して立ち上がり、 自分が出せる限りの大声で 「彦野ーーーーーー!」 って叫んだんですね。 もう「えっ!? 俺ってこんな大きな声出せたの!?」 ってくらい大きな声で! それで吹っ切れました。 今まで俺は何を気にしてたんだろう。 バカみたいにはしゃぐと皆にバカに思われる? バカって思われたっていいじゃん! どうせバカなんだし! せっかく球場に来たんだし、とことんバカになろう!楽しもう! なんかそういうのを思い出しましたね! ジョージがロックンロールを踊り出した場面! 抑圧された自分を解放することで新しい能力に目覚める! それまでの僕は、ずっと人の目を気にして(今でも気にしてますが)、 格好悪いことをしたくなくて(今でもなるべくならしたくないですが)、 人に嫌われたくなくて(今でも嫌われたくないですが)、 自分を抑制してきました。 でも、「自分がやりたいことをやってるなら、それでいいじゃん! 人にバカと思われたっていいじゃん!」と思うようになり、 だから今、こんな恥ずかしいテキストを惜しげもなく皆さんの前に晒せるほど 開き直れるようになり、このサイトがあるのです (普通ならこんな下手くそな文章、人前に晒したくないですよ!) (でも自分がやりたいからやってるのです!) (バカと思われたっていいじゃん! どうせバカなんだから!)。
(2013.01.11)
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原題 | The Men Who Stare at Goats |
邦題 | ヤギと男と男と壁と |
公開/製作 | 2009年/アメリカ |
出演 | ユアン・マクレガー(ボブ)、ジョージ・クルーニー(スキップ)、ジェフ・ブリッジス(ビル) |
監督 | グラント・ヘスロヴ |