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スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団


7人の敵を倒せ!
次々に襲ってくる敵とバトルを繰り広げ(もちろん敵はいっぺんには襲っては来ません)、 レベルアップしながら(もちろん敵は弱い方から順番に出て来ます) 成長し、ラスボスを倒して彼女を手にいれろ!
もう少年ジャンプで育った日本のボンクラ・キッズには たまらない王道中の王道のバトル・アクションですよ! 基本的には『聖闘士聖矢』や『キン肉マン』と全く同じストーリーです!

だいたい僕の記憶だと、僕の人生の師匠である車田正美先生のお描きになった 『リングにかけろ』で、高嶺竜児が五重の塔で五回のバトルをしたのが「ジャンプ型バトル」の最初じゃないですかね。 一階から五階までそれぞれ番人がいて、 各階の敵を倒しながら上までのぼるってっていう(もちろん敵は弱い方から順番に出て来ます)。 その後ジャンプでバカみたいにパクられる全く同じパターンの中身カラッポ・バトル漫画の原点ですよ! (元ネタはブルース・リーの『死亡遊戯』のパクリですけど)

んでバトルするうちに主人公が人間的に成長していって、 一人前の男になったりならなかったり。 「はいはい、バトルバトル」「友情・努力・勝利、はいはい」」 ってもうジャンプ読者なら同じストーリー100回くらい見ましたよ! 一体こんなワンパターン・マンガなんか誰が見るんだ!って思ってると、 ジャンプの人気投票ではこういう中身カラッポの漫画がいつも上位で、 単行本50巻以上の長期連載になって金ガッポガッポ稼いで、アニメ化とかしたりするんですよ! どうなってんだジャンプ! ジャンプ読者はバカばっかりか!
チャンピオンで50巻も続くなんて『ドカベン』(シリーズ累計)くらいですよ! そんな山田太郎ももうすぐ結婚ですよ! 里中なんかサッちゃんと結婚したんですよ! この変態ロリコン!こないだまで小学生だった子供だぞ! 何が「小さな巨人」だよ! どっちかって言うと
…すみません、いま一瞬ひどく品のない下ネタに走りそうになりましたが、冷静さを取り戻しました。 あんまり下品なこと書くと石原都知事(元エロ小説家)に潰されてしまいます。 里中・サッちゃん、結婚おめでとう!

で、何の話でしたっけ。ああ、そうそう、 『スコット・ピルグリムvs邪悪な元カレ軍団』でしたね。

アメリカ映画なのに「ジャンプ型バトル・アクション」を忠実に映画化していて、 ちょっと涙が出るようなシーンもあったりして、よかったですよ!
僕もピルグリム君のように、人の心を傷つけ、失敗して、 「もしやり直せるなら、今度こそうまくやってみせる」 なんて思うことがよくあります(いやそんなに頻繁には無いです)(たまにあります)。 杉良太郎も 「人生が繰り返すことはないけど、やり直しならいつだって出来るだろう」 って歌ってますが、やり直せればきっとうまくいける! 次はもっとうまくやってみせる!

でも、それってただの気のせいで、やり直ししても大抵は同じ失敗を繰り返し、 同じように人を傷つけ、取り返しがつかない状況になってから、 「ああ、またやってしまった」 って気付くんですけどね。やり直せれば今度こそうまく行く! うまくやってみせる! なんてのは幻想です。 人はそう簡単に変わりません。

ハッピーエンドのように見える物語も、 後日談を語らせるとその後グチャグチャの泥沼になってた、 なんてよくある話です。(バトルばっかりしていた少年マンガのヒーローなんて、 将来就職も出来ずヤクザかホームレスになるに決まってますよ!) (孫悟空なんて無職でヒモのような生活してますよ!)

ピルグリム君も最終的にくっついた彼女 (彼女候補が3人くらいいるのでネタバレではありませんよ)とは、 ハッピーエンドで映画は終わってるように見えますが(あのエンディングをバッド・エンドと見る人もいるでしょうね)、 あのカップル、何ヶ月後かに別れると思います!

(2012.3.3)

原題Scott Pilgrim vs. the World
邦題スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
公開/製作2010年/アメリカ
出演 マイケル・セラ(スコット・ピルグリム)、 メアリー・エリザベス・ウィンステッド(ラモーナ)、 エレン・ウォン(ナイヴス)、 アリソン・ビル(キム)、 ジェイソン・シュワルツマン(ギデオン)
監督エドガー・ライト

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