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リンカーン


「アメリカ歴代大統領でもっとも優秀だったのは?」

アメリカの歴史学者の意見をまとめた「大統領格付け」というのがあり、 その結果、一位には保守派・進歩派どちらからもリンカーンが選ばれました!
リンカーンといえば言わずとしれた「奴隷解放の父」と呼ばれた人ですね!

さて、これからアメリカの奴隷解放の歴史についておさらいするので、 歴史嫌いの人は寝てていいですよ! (そういえば私の母校の社会の先生は「眠い人は寝ていいですよ」と言う人でした) (それでテストの結果が悪くなっても自己責任、 勉強する・しない、寝る・寝ないはあくまで個人の自由であると!) (いい先生です!)(おかげでその授業はずっと寝てたので、 テストは全然ダメでした!)(あかんやないか!)

ではここで問題です。 アメリカで奴隷制度が終了したのは何年でしょう? (ヒント:リンカーンによる奴隷解放宣言は一八六三年です)


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映画『リンカーン』は、リンカーンが修正十三条を成立させるまでのお話です。

修正十三条というのは、 「奴隷制もしくは自発的でない隷属は、 アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない」 という法律で、要は他人に奴隷となることを強制してはいけない、 ってことですね (「自発的でない隷属」ってあたりが相当ブラックです) (「うちの奴隷は自発的に奴隷になったのだ!」と言えば通り抜けられますね) (NHK幹部に日付白紙の辞表を出させて「クビにしたのではない!自発的に辞めたのだ!」 と言い張るみたいな) (日本では奴隷制度を禁止する法律がないので、ワタミもやりたい放題です!)

…と勢いで書いた後で念のために調べてみたら、ありました。

    日本国憲法第十八条【奴隷的拘束および苦役からの自由】

      何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。 又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服せられない。

図らずもワタミが憲法違反をしている事が明らかになってしまいました。


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で、さきほどのクイズの答えですが、 アメリカで奴隷制度が終了したのは、 一九九五年です!(つい最近です!)

修正十三条が成立した一八六五年当時、 アメリカには三十六の州がありましたが、 その年に三十州が批准、しかし南部の六州はなかなか批准せず、 最後のミシシッピ州がサインしたのが一九九五年なんですね。 (黒人差別をテーマにした映画はたいがいミシシッピが舞台です!)

修正十三条の成立程度では黒人差別はなくならない。 最初から奴隷制度に反対の州だけが批准書にサインして、 南部の州は抵抗するだろう、というのはリンカーンも分かっていました。 黒人には選挙権もなく、白人と同じバスにも乗れない、レストランにも入れない。 問題はまだまだ山積みなのです。

黒人に選挙権が与えられるのは修正十三条から九十九年も先の一九六四年で、 公民権法の制定により法律上の黒人差別はなくなりましたが、 それでもその四年後にキング牧師が暗殺されています。 法律が制定されても差別はなくならず、 ミシシッピがようやく「黒人も白人も同じ人間なんだ」と認めたのが一九九五年なのです! リンカーンが奴隷解放宣言をしてから百三十五年後です! (皆さんのスヤスヤという寝息が聞こえますよ) (まだ寝てていいです)

でも修正十三条は「きっかけ」なのです。「最初の一歩」なのです。
もしこの法律をあのときリンカーンが成立させていなかったら、 奴隷制度撤廃は百年遅れて、今でも黒人差別が続いていたかも知れません。 いきなり「奴隷制度撤廃!」「黒人に投票権を!」「黒人に参政権を!」 「職業の自由を!」と何もかもいっぺんにやろうと思ったら、 オール・オア・ナッシング、 百年経っても何ひとつ進まなかったでしょう。

黒人差別撤廃は、百年以上の長い長い時をかけて、達成されました。 自分たちの世代で差別がなくならなかったとしても、 自分たちの子供、孫、未来の世代が受け継ぐことを信じて、 リンカーンは「最初の一歩」を踏んだのです。

この法案を可決させるために、リンカーンは脅し、すかし、裏工作と、 政治家としてあるまじき行為をたくさんします。 それが『リンカーン』という映画では描かれてます。

理屈で正論を述べても人の心はついて来ない。 「私の言ってることは正しいのに、どうして誰も分からないんだ! 君たちの頭はバカなのか!」と怒鳴るだけでは、人は説得できないのです。 (橋本市長!この映画観ましたか!?)

たとえ手を汚したとしても、「最初の一歩」がなければ前に進めない。 そのためには何だってやる。 「誠実な人間」が「優秀な政治家」になるわけではない、 といういい例ですね!

はい! ということで、皆さん起きてください! 歴史の勉強の時間は終わりですよ!
今から本題に入ります!


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ドラゴンズ応援団は、「最初の一歩」を踏み出さなかったんですね。
「一部許可」ではなく「すべて許可」にこだわりました。

応援って、「誰のために」やるんでしょう?

ファンのため?
選手のため?
それ以外の誰かのため?

それ(=NPBの言うことに従うこと)が屈辱的な事だとしても、 問題が完全に解決するわけではないとしても、 妥協してでも、 プライドを捨ててでも、 「きっかけ」を失ってしまったら、 未来まで失ってしまう。

リンカーンは、黒人差別撤廃を、今ではなく百数十年後の未来に託しました。 「いま自分が出来る精一杯のこと」をやって、 未来に繋げました。

ドラゴンズ応援団の未来には何も見えません。
(NPBの考える「応援団のない未来」には、大事な「最初の一歩」になりましたが!)


(2014.02.28)


原題Lincoln
邦題リンカーン
公開/製作2012年/アメリカ
出演 ダニエル・デイ=ルイス(リンカーン)、 トミー・リー・ジョーンズ(スティーブンス)、 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(ロバート)
監督スティーヴン・スピルバーグ

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