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インベージョン


子供のころ盆踊りに行ってダディの後ろをとことこ付いて歩いてたら、 気が付いたらダディが知らないおっさんに変わっててびっくり仰天しました。
「う…うちの父ちゃん、他人に変身できるんや!?」

ま、ダディがそういう特殊能力を持ってることに僕はそのとき初めて気が付いたわけですが (今はその能力はないみたいです)、 父親だと思ってた人がとつぜん知らない人になっていたら誰でもびっくりしますよね (夫婦円満でない家庭ではときどきそういう事があるみたいですが)。

『インヴェージョン』は家族や周りの人たちが突然別人になってしまう、 という怖いお話です。 別人になる、というのは僕の父親のように全く知らないオッサンに変身するわけではなく (いい加減迷子になったことを認めろ>俺)、 宇宙からきた細菌によって一切の感情を失い、 喜怒哀楽の感情を持たないロボットのようになってしまうのです。

世の中の人間がすべて喜怒哀楽を失ったどうなるか! まあ僕も小さい頃は(こういう書き方をすると今では身長5メートルを超す大男みたいですが) 「喜怒哀楽を表に出さない」ことが格好いいなんて思ってた時期があって、 ゴルゴ13みたいな無口で無表情のスナイパーを気取ってたものですよ。 だって漫画に出てくる無口キャラって格好いいじゃないですか! ゴルゴとかバンコラン少佐とかスナフキンとか! で、僕の頭の中ではすっかりゴルゴがイメージされてて、喋る言葉は 「うむ」「承知した」「俺の後ろに立つな」 の三つくらいですよ! 必要最小限の言葉でクールに過ごした結果、 それで付いたあだ名が「むっつりスケベ」ですよ! (ふざけんな!) (むっつりはしてたがスケベかどうか何故わかる!)

しかし喜怒哀楽その他の感情を失うというのは、究極の悟りの極地なのかも知れません (「究極」と「極地」って被ってますが)。 お坊さんは悟りをもとめ108の煩悩を消し去ろうと修行しますが、 煩悩を消し去ったあとに残るものは「無感情」です。 感情がなければ恨みも憎しみもない。悔しさも憤りもない。 それっていわゆる「平和」ってやつですよね。
いいこともない代わりに悪いこともない! 人間無事に平穏に生活して、怒りも悲しみもなく日々を淡々と過ごし! 他人に迷惑をかけずに平凡に生きることが一番の幸せであるとするならば、 感情のない世界こそが真の幸せということになります!

でも、感情のない世界では性欲も奮い立たないので人類すぐに滅亡してしまいますね! 感情は抑えて、性欲は心の中で燃えている、すなわちむっつりスケベが一番だということです! (今日も間違った結論で終わりました)


(2012.3.24)

原題The Invasion
邦題インベージョン
公開/製作2007年/アメリカ
出演 ニコール・キッドマン(キャロル)、ダニエル・クレイグ(ベン)
監督オリヴァー・ヒルシュビーゲル

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