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ミルク


ちょっと前の話になりますが、 コンニャク党のブリダイコン幹事長がブログで、 味噌でんがく保護法案に反対した市民のデモ行進について、 「絶叫戦術はテロ行為と一緒や!」 と書いて問題になりましたね! (政治的テキストにならないように一部固有名詞はボカしてます)

でも、デモ自体は憲法で認められた権利 (憲法二十一条・集団行動の自由の保障) なので、当然メディアは「自由に対する侵害だ!」とコンニャク党を大叩きしたわけですが、 一方で、 ネットでは 「デモって意味あんの?」 「デモなんかしても何も変わらない」 という冷めた声も幾つか見ました。

確かに、デモに何万人集まろうが何十万人集めようが何の決定権もないし、 決まったことをひっくり返すことも出来ません。 知ったかぶりの知識人キドリに 「デモなんてただの自己満足じゃん?」 「大声で騒いだり道塞いだりして迷惑だっつーの!都の騒音防止条例で取り締まれよ!」 としたり顏で言われるだけです!

デモを行う側の思いとしては、 「とにかくじっとしていられない!」 「何でもいいからアクションを起こしたい!」 「大声で叫んで気分スッキリしたい!」 「仲間うちで集まって敵の悪口を言いたい!」 という事があるのでしょうが、 それらの事情は実に個人的で、社会を変えるものではありません。
居酒屋で仲間内で言い合う守道の悪口や、 球場で叫ぶ守道への野次と何が変わらないのか! (君はいつも守道だね!)(いつも守道です!)


☆    ☆    ☆    ☆


映画『ミルク』は、アメリカの政治家ハーヴェイ・ミルクの伝記です。 ミルクちゃんは(人をOH!スーパーミルクチャンみたいに!) 一九七七年にサンフランシスコの市議会議員に当選し、 翌一九七八年に暗殺されました。 (セミのように短い議員生活でした) (いやセミはもうちょっと生きる)

ミルクちゃんが有名なのはアメリカ史上初めて、 ゲイであることを公言して議員に立候補し当選した人だからです! (いや、今ウィキペディアで確認したら 「大都市で初めて」って書いてた) (じゃあ田舎の議会では既にいたかも)(調べてません) (調べません!)(←力強く)

ミルクちゃんはゲイを公言することで、 差別に怯え肩身の狭い思いをしている全国のゲイの人たちに、勇気を与えたんですね!
「自分がどういう人間であるか、堂々と言うべきだ!」
「全国各地に仲間がいる!自分が声をあげれば他の人も声をあげる!」
「黙っていても何も変わらないのだ!」

僕は、デモ行進で自分の主張を叫ぶことは、 「自分と同じ弱い立場の人たち、まだ見ぬ仲間たちが声をあげるきっかけを作る」 ことだと思うのですよ。
叫んだって何も変わらないけど、 黙っていても何も変わらない。
しかし、声をあげることで誰かに勇気を与える可能性が少しでもあるなら、 やらないよりはやった方がいいんじゃないか! 人を愛したいなら自分の心に叫ぶんだ! それが、ロックン・ロールだ!

ミルクちゃんは「もし私が暗殺されたら、このテープを公開して欲しい」 と一本のテープを残しました。実際にミルクちゃんは暗殺され、 死後、そのテープが公開されます。

    「暗殺が起こったあとどうすればいいのか。 このテープはそれを説明する役割も持っている。一部の人が腹を立て、挫折感を味わい、 激怒するのを止めることはできない。だが、どうかそんな挫折感や怒りに耐えてもらいたい。 そしてデモ行進やそういったたぐいのことをやるのではなく、権力をかちとってもらいたい」
    (ハーヴェイミルクの遺言テープより)

ほうら!ミルクちゃんも言ってる!
「デモ行進やそういったたぐいの事をやるのではなく」

や、やるのではなく?!

……。

……えーと、

そうです! 叫んだって何も変わりません!

デモ行進なんかテロ行為と一緒です! 意見があれば定められた手順を踏んで、 定められた場所で言えばいいのです! 政治に文句があれば政治家になればいいのです!
法律がゲイを縛ったとしても、議員になって法律を変える権利は奪われてないのだから! (いててててて!攣った!手のひらが攣った!)

いやー、ミルクちゃんがデモ否定主義者だったとは、いま知ったわ (←映画観てるときは気づかなかったらしい)。

(2014.02.13)


原題Milk
邦題ミルク
公開/製作2008年/アメリカ
出演 ショーン・ペン(ハーヴェイ・ミルク、ジョシュ・ブローリン(ホワイト)、エミール・ハーシュ(ジョーンズ)
監督ガス・ヴァン・サント

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