「最近の子供はテレビや映画の影響で、ちっとも怖がらなくなった」。 モンスター世界では子供たちから「恐怖エネルギー」を吸収して電力にしていますが、 最近の子供たちはテレビや映画による疑似恐怖体験により、 ちょっとやそっとのことでは恐怖しなくなったのです。 このままではエネルギーは枯渇する! そのときモンスターたちはどうしたか! (早くもネタバレしてますが、『モンスターズ・インク』とかみんな一度は観てるだろうからいいですよね!) (僕は初めて観ましたが!)(ダメじゃん!) モンスターたちは「恐怖エネルギー」を取りやめ、「笑いエネルギー」に方向転換したのです! 子供たちを笑わせることでエネルギーを得るのです! ウェイ、ウェイ、ウェウェウェウェ・ウェイ! (三田村邦彦の物まねで「待ってェ〜、ちょっと待ってェ〜」) (そんなコマーシャルありましたね!) つまりですよ、それって 「最近のテレビや映画は、子供たちに面白い笑いを提供してない」 って事ですよ! テレビのお笑い番組の芸人コントより、 素人モンスターの一発ギャグの方が面白いってことです! 確かに、正月番組にお笑い芸人いっぱい出てましたが、全然面白くなかったですね。 「ワイルドだぜぇ〜」とか皆もうとっくに飽きているだろうに、 周りの人(=バイト観客、司会者)がゲラゲラ笑って 「まだイケるよ!まだ流行ってるよ!」 みたいな空気を作ってギャグの延命措置をしている。 人は周りが笑えば笑うものだから、 クソつまらないギャグでも周りにつられて笑ってしまう。 こうしたギャグの延命措置は、「次に来るギャグのハードルを下げる」ことに役立ちます。 たとえば「ワイルドだぜぇ〜」が流行り始めた頃の面白さを数値化して十ジョイナスとして、 これを越えるには十一ジョイナス以上の笑いが必要なわけです。 でも、延命措置で使い続けることによって、 「ワイルドだぜぇ〜」の面白さは八ジョイナス、六ジョイナス、四ジョイナスとどんどん下がっていく。 そうすると次に出てくる新しいギャグは最初の十ジョイナスを超える必要はなく、 七〜八ジョイナスくらいで「すごい面白い!」「スギちゃんより面白い!」 となってしまうのです! ハードルが下がるのです! お笑い業界がどうして面白くない飽きられた芸人を出し続けるのか僕は常々疑問に思ってたんですが、 『モンスターズ・インク』を観てその疑問が氷解しました! 人間のお笑いレベルを下げる事によって、モンスターが子供たちからエネルギーを集めやすいようにしてたんですね! 「ワイルドだぜェ〜」くらいで笑ってる子供たちなんか、 モンスターが箸を転がしただけで大爆笑ですよ! ディス・イズ・エコ! 脱・原発! モンスター世界のために敢えて質の低いお笑いを提供して行く。素晴らしい仕事です! ちなみにハードルを下げ続けてゼロジョイナスになってしまった小島よしおさんを最近全然テレビで見ないですが、 これまでの功績が湛えられてモンスター世界で優雅に暮らしてるらしいですよ!
(2013.01.10)
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原題 | Monsters, Inc. |
邦題 | モンスターズ・インク |
公開/製作 | 2001年/アメリカ |
出演 |
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監督 | ピート・ドクター |