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暴力脱獄


皆さん、8月21日付けの毎日新聞のweb記事、見ましたか!?

     長野県須坂市の須坂市動物園で21日午前6時ごろ、 フンボルトペンギンのヒナの脱走に出勤してきた職員が気付いた。 同園によると、腕に付けた判別用のタグなどから、今月 12、14日も脱走したヒナとみられ、 3回目は飼育舎の柵(高さ約50センチ)を飛び越えたらしい。 約2時間後、約200メートル離れた池で泳いでいるところを捕獲されたが、 丸田勉園長は「ヒナにこんな跳躍力があるとは。信じられない」と驚いていた。

     同園によると、ヒナは生後3カ月で体長約50センチ。性別は不明。 12日は滑り台の上から通路に飛び降り、 14日は柵の下約8センチの隙間(すきま)からはい出て脱走した。 園は、滑り台の登り口や柵下に板を張る予防策を取ったが、さらに裏をかかれた形だ。

脱走、脱走、また脱走!
監獄のような動物園から、三度に渡りフンボルトペンギンが脱走を行ったんです! これぞ男のロマンですよ!

問題のフンボルトペンギンの写真を見ましたが、なんだか不敵に笑っているようでもあります。 脱走などせずにこのまま黙って園の中にいれば、三食昼寝つき、 勝手気ままなペンギン・ライフを過ごせたのに、 なぜ彼は危険を冒してまで脱獄したのでしょう?

脱走しては捕まり、また脱走しては捕まり、厳重な警戒のなか三度目の脱走を試みる。 それを横目で見ていた須坂市動物園の他のペンギンや他の動物たち、 ベンガルトラ・アライグマ・ツキノワグマ・ニホンカモシカなどはどう思ったでしょうか。 みんな檻の中からこう叫んだに違いありません!

「さすがフンボルトペンギン!」
「俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッ!」
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」

誰もが表には出さないものの、心の中では思っている希望・願望、 「この嫌な現実から抜け出したい」。
しかし多くの囚人(動物)は、 「そんなこと、出来るわけがないさ」とやる前から諦めている。 そんな腑抜けで腰抜けのチキン・ファッカーな僕らに、 「不可能なことなんてないんだ!」 「失敗したら何度でもやればいい!」 と、フンボルトペンギンは自らの行動で指し示したのです! これをヒーローと呼ばずして何をヒーローと呼ぶのですか!

僕たちはこの世界で何とか生きていくために、 いつの間にか強い者に従い、長い物に巻かれてる。 巨大な力には逆らわない。出来ないことは諦める。 でも、心の中ではひそかにヒーローにあこがれてるんだ。 もしもウルトラマンのような巨大な体があったら。 敵を一撃で倒すビームがあったら。 もしも仮面ライダーのような変身能力があったら。 敵を粉砕する強烈なキックがあったら。
だけど、僕にそんな能力はない。出来るわけがないさと諦め、 心の不満をグッと押し込め現状に甘んじる。

でも、そんな特別な能力なんかなくったって、 誰でもヒーローになれるんだよ! 必要なのは行動する勇気と自分を信じる心! その小さな体でこの高い檻を飛び越えるんだ! フンボルトペンギンのように!

『暴力脱獄』は、ポール・ニューマン扮する主人公が脱走しては捕まり、 脱走しては捕まり、 それでも脱走にチャレンジするフンボルトペンギンのようなクールな男 (ペンギンだけに)が主人公の映画です。
須坂市動物園のフンボルトペンギンも何かのきっかけでこの映画を観て、 動物園からの脱獄にチャレンジしてみたくなったんでしょう。 そしてフンボルトペンギンは、 現状に不満ばかり漏らし何も行動しない、行動出来ない僕たち人間に、 こう言ってるように見えるのです。

「社会という檻の中でもがいている人間たちよ!檻の中の住み心地は快適かい?」


(2012.8.21)

原題Cool Hand Luke
邦題暴力脱獄
公開/製作1967年/アメリカ
出演 ポール・ニューマン(ルーク)、ジョージ・ケネディ(ドラグライン)、ストローザー・マーティン(刑務所所長)
監督スチュアート・ローゼンバーグ

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