僕が子供の頃は「スウェーデン」なる響きにはとても淫靡な味わいがありましたね! 大人の雰囲気というか、色気と言うか、要するにスウェーデンといえば 「無修正直輸入ポルノ雑誌」の本場ですよ! その実物こそ目にしたことは無いものの(無いのです!)、 スウェーデンの写真雑誌には一切の隠し事なく、 すべてがありのまま、自然な姿が映っているという噂はクラス中に流れてました! 中学のとき、 同級生の「スウェーデンのエロ本はケシズミなしのモロ見えなんだぜ!」 って情報にどれだけ心ときめかせ心躍らせたか! 嗚呼、大人の国・スウェーデン! おお、自由の国・スウェーデン! そこ行けばどんな夢も叶うといい! 誰もが行きたがる遥かな世界! その国の名はスウェーデン! 何処かにあるユートピア! どうしたら行けるのだろう、教えて欲しいスウェーデン! ってイメージが僕の頭の中にまずあるので、 『ぼくのエリ 200歳の少女』がスウェーデン映画と聞いたときはゾクゾクしましたね! タイトルからしてAVみたいです!(冒涜です!)(本当はきれいな芸術映画です) で、期待して観たわけですが!(何を?)(何を期待した?) 仰天しました! だって、途中で女性が下腹部を露出するシーンがあるんですが(芸術映画です)、 そこ、肝心の部分に修正が入ってるんですよ!(ナンダッテー!)(ナンダッテー!!) (ナンダァッテェェェーーー!!!) …どうしちまったんだ …スウェーデン …話が違うじゃないか …お前はそんなやつじゃなかったはずだ …スウェーデン! 嗚呼、スウェーデン!! ええとですね、これ原作では、女性の下腹部に手術痕があってですね、 それを主人公の男の子が見てびっくりする! ってシーンなんですよ。 物語的にも意味あるところです。 (この手術痕が少女の秘密に大きく関わりがあるのです) それが! 修正が入り! 手術痕を消してつんつるてんにしてるんですよ! 主人公の男の子がそれ見てびっくりするんですが、、 「思春期の男の子が初めて女の下腹部を見てハァハァ興奮してる」 ようにしか見えないんですよ! なんだそれ! ロリコン・エロ映画か! 日活ろまんポルノ『十二歳・たかしの筆おろし』か!(芸術映画です!)(たかしって誰だ!) 映画を観終わって、僕はとても悲しい気持ちになりました。 ああ、スウェーデン。 少年の夢、スウェーデン。 俺たちの憧れ、スウェーデン。 すべては幻想だった。 スウェーデン無修正輸入版なんて存在しなかった。 すべての芸術は検閲され、修正される。 たとえ、スウェーデン版だとしても! 俺たちが子供のころに描いたスウェーデンは、幻だった。 だけど、スウェーデンを恨みはしない(検閲してるのは日本の映倫ですからね!)。 たとえスウェーデン版にぼかしがかかったとしても、 目を閉じれば、 少年の脳裏には、 たくましい想像力で創造した、憧れのアノ部分がはっきりと脳裏に浮かんでいるのだから。 (「◎」に「十」重ねて太陽みたいな飾りをいれたやつ)
(2012.9.19)
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原題 | Let the Right One In |
邦題 | ぼくのエリ 200歳の少女 |
公開/製作 | 2008年/スウェーデン |
出演 | カーレ・ヘーデブラント(オスカー)、リーナ・レアンデション(エリ)、ペール・ラグナル(ホーカン) |
監督 | トーマス・アルフレッドソン |