グラウンドの一角でカープのユニフォームを着た鶴田と 島崎がキャッチボールをしている。 そこへつかつかと歩いてくるス―ツの男。サトヤスだ。
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鶴田 |
「行くぞー、島崎ー」 |
島崎 |
「はーい、鶴田さん!…あれ?ヤスユキじゃん?」 |
サトヤス |
「ちわッス!鶴田さん、島崎さん!お久ぶりッス!」 |
島崎 |
「聞いたぜ?今度カープに来るそうじゃん。またよろしく頼むぜ!」 |
サトヤス | 「いやあ、まだ正式決定ってわけじゃないッスから。 今日、これから球団事務所にお伺いして、いろいろ話聞くんですよ。 “球場にはまだ行くな”って言われてたんですけど、何か近くまで来たら、無性に2人の顔が見たくなって」 |
久々の再会に談笑する3人。
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サトヤス |
「広島の練習ってキツいそうじゃないですかあ。どうッスか?やっぱ大変ですか?」 |
鶴田 |
「あー、心配しなくていいよ、最初だけ最初だけ!」 |
島崎 |
「そのうち馴れるよ。自分でアドレナリンとか出せるようになったら」
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サトヤス |
「…え?」
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鶴田 |
「そうそう、アレ覚えれば、疲れとか気になんなくなるしね!」 |
サトヤス |
「…アドレナリンって、何スか?」 |
島崎 |
「え?知らない、アドレナリン?
脳内麻薬だよ」 |
サトヤス |
「は?」 |
島崎 |
「脳の中に分泌して、感覚が麻痺して気持ちよくなってさ、
痛いのか疲れとか、全く無くなっちゃうんだ。
ランナーズ・ハイってあるじゃん? 肉体が限界を超えると、逆に気持ちよくなるやつ」 |
サトヤス |
「…それって自由に出したり出来るもんなんですか?」 |
鶴田 |
「うん。何度か死地をさまよえばね。」 |
サトヤス |
「………」 |
2人が何を言ってるのか分からず、戸惑うサトヤス。
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鶴田 |
「あー、ちょっとノド渇いたな。島崎、球場の売店でジュース買って来いよ」 |
島崎 |
「そうですね。じゃ、買ってきます!」 |
サトヤス |
「あ、そんな!島崎さんここで休んでくださいよ。ボクが行くッスよ!」 |
島崎 |
「ん、でもお前、ぺリカ持ってないだろ?」 |
鶴田 |
「そうそう、お前ぺリカ持ってないんだから、ここにいろよ」 |
サトヤス |
「…ぺリカ?」 |
鶴田 |
「広島の通貨単位だよ。ここじゃぺリカが無ければ何も買えないからな」 |
サトヤス |
「それ、どうやって手に入れるんですか?」 |
島崎 |
「年俸でもらうんだよ」 |
サトヤス |
「はい!?」 |
島崎 |
「たとえば前田さんなら、今季の年俸は2億1千万ぺリカ。うらやましいよなー。俺も絶対復活して、
高給取りになってやるぞ!」 |
サトヤス、状況が把握出来ない。
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