Sorepena2014


(57) おまんるいのピンチやよ


ずんどらごは伝統的に、 「無死満塁から点を取れない」 と言われている。


無死満塁。それはボテボテの内野ゴロでも1点、外野フライでも1点、 ヒットなら2点入るケース。 しかし、 内野ゴロも外野フライも、もちろんヒットも打てない。いや、打たない。 大和撫子のような慎ましさ を持っているのが、ずんどらごナインなのだ。


無死満塁、向うのピッチャーは泣きそうな顏でマウンドに立っている。 敵スタンドのファンには泣き出すもの、汚い言葉を投げつける者、 現実逃避して翌日の安田記念の予想を始める者までいる。 そんな 心の弱った弱者 をここぞとばかりに叩くのは、 男として、武士としてどうなのだろう。

そんなとき、ずんどらごのバッターは、上杉謙信が武田信玄に塩を送るように、 そっと凡退するのだ。


小笠原
能力名 おまんるいのピンチやよ
(フルベース・ノーラン)


【効果】 ピンチをチャンス、チャンスをピンチに変えるのがずんどらご。 無死満塁では点にならない形で1人がアウトになったあと、 次打者がゲッツーになるという安定した形が出来上がっている


そんなずんどらごだが、この試合、 最大のピンチは序盤の2回にやって来た。

モリノ、ワダ、ヒラタが安打・エラー・四球で出塁、 ノーアウトでおまんるいのピンチ!

この場面で打席に立ったキョーヘイは、 「どうぞアウトにしてください」 と言わんばかりのピッチャー・ゴロ。ここまでは予定通りだ。ところが!

楽天のピッチャー・ミマはゴロを捕球すると、ホームに向かって キレ味鋭いスライダー を放りキャッチャー捕れず、 慌てて追いかけて拾いあげると、ホームベース上に 唸りを上げてホップするジャイロ・ボール を投げ込みピッチャー捕れず、 さらにバックアップのサードの横も抜け、ボールは三遊間を抜ける勢いで転がっていった。


美馬
能力名 江戸仕草 (ハートフル・マインド)


【効果】 点を取ろうとしないずんどらごに、どうぞどうぞと点を差し出す楽天。 世界中の誰もがこんな譲り合いの精神を持っていれば、この世から戦争は無くなるだろう。


「どうぞアウトにしてください」というずんどらごに対し、 「いえいえ、どうぞ点を取ってください」 と言ってくる楽天。 江戸しぐさのような譲り合いに、 誰もが心を打たれた。


楽天の譲り合いの精神に感激したずんどらごは、 お返しに 二塁ランナーがオーバーランで1アウト、 次打者ゲッツーで3アウトと、もらったチャンスを礼儀正しく返納した。


ずんどらご2回の攻撃
無死 森野 左安 0−0
無死一塁 和田 三ゴ失 0−0
無死一二塁 平田 四球 0−0
無死満塁 岩崎 投ゴ失 0−1
1死一二塁 武山 投バ併 0−1

↑ 目頭が熱くなる感動のスコア
(センイチがいなくてよかった)


6月7日(土)ナゴヤドーム
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R
楽天      
中日      
【楽天】 美馬、松井裕、長谷部−嶋
【中日】 山井、高橋聡、又吉、岩瀬−武山



なお、この日はモリノが4打数4安打と大活躍、 調子に乗ってお立ち台で 自分の本の宣伝 をしていた。


本 本


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