(55) 巨大企業を倒せ!
宿命の対決――――――
生まれたときから
「いつかは戦わねばならぬ相手」と定められていた。
血が沸騰する。体中の細胞が、DNAが燃えている。「こいつを倒せ!」と叫んでる。
祖父から父へ、父から子へ。
先祖代々受け継がれてきた戦い。絶対に勝たなければならない戦いが、ここにある!
VS
名古屋の弱小お菓子メーカー
が、
巨大お菓子メーカーに今、立ち向かう!
☆ ☆ ☆ ☆
6回を終わってスコアは5対5の同点。この緊迫した場面で
キャラメル王子・ソブエ
がマウンドに立った!
そして1番から始まる「お口の恋人」ロッテの好打順を、ソブエは見事に
三者凡退
に切って取ったのだった。
巨大企業・ロッテが、地方のお菓子メーカー・日邦製菓に屈した
歴史的瞬間である!
7回裏 ロッテの攻撃 |
無死 |
1番 |
加藤 |
二ゴロ |
M 5−5 D |
祖父江 |
1死 |
2番 |
鈴木 |
右飛球 |
M 5−5 D |
祖父江 |
2死 |
3番 |
井口 |
二飛球 |
M 5−5 D |
祖父江 |
能力名 『製菓主義』
(キャラメル・クラッチ)
【効果】 お菓子に使う砂糖に「和三盆」という高級砂糖があるが、
「三凡」はその上を行くさらなる高級菓子である
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そして8回、再びマウンドに上がったソブエだが、
イニングをまたいだソブエは
甘い球を痛打され、
3連打で2点を失った。
8回裏 ロッテの攻撃 |
無死 |
4番 |
今江 |
右安打 |
M 5−5 D |
祖父江 |
無死一塁 |
5番 |
ハフマン |
左線二塁打 |
M 6−5 D |
祖父江 |
無死三塁 |
6番 |
角中 |
中安打 |
M 7−5 D |
祖父江 |
確かに、ソブエの放った球はことごとく甘かった。
だがしかし、
キャラメルは甘いのが当たり前!
7回に宿敵・ロッテを粉砕したソブエは、
8回は甘い球を投げることで、日邦製菓のミルクキャラメルがいかに
甘くて美味しい
ということをアピールしたのである!
能力名 『甘味一番』
(ミルク・キャラメル)
【効果】ライバル会社のロッテも思わず食いつく
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6月4日(水)千葉マリン
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1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
R |
中日 |
0 |
2 |
0 |
3 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
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6 |
千葉 |
0 |
2 |
0 |
1 |
2 |
0 |
0 |
4 |
x |
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9 |
【中日】大野、岩田、祖父江、パヤノ−武山
【千葉】古谷、上野、益田、松永、カルロス・ロサ−江村
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さすがにロッテ打線は甘くない、ということを見せつけられた試合ではあったが、一方で
「甘くない」というのは製菓会社としては致命的な欠陥
だ。
甘くないお菓子など誰が買うものか!
ロッテは、ソブエを打ち込むことで「ロッテは甘くない」=「ロッテのお菓子は甘くない」
=「お菓子としての完全敗北」と認めたのである!
試合には負けたが、勝負には勝った日邦製菓であった。
☆ ☆ ☆ ☆
試合後、ソブエはひそかにモリシゲヘッドに2軍行きを通達された。
もちろん降格などではなく、このところ働き詰めだったソブエへの小休暇の意味合いと、
新キャラメル調達
の指令が極秘裏に出ている。
今回はスキル「ミルクキャラメル」を連発したために3連打を浴びたが、
日邦製菓にはまだ
甘さ控えめの塩キャラメル
という秘密兵器が残っているのだ!!