マタキチがドラフト指名の記者会見に登場したとき、 全員の目はマタキチよりも その前に置かれていたもの に釘付けになった。




ごま油…？

何だろう。のどが渇いたときに飲むんだろうか。

ごま油は、肝臓の活性酸素を取り除いてくれるので、肝臓を守り機能を高め、 アルコールが分解される途中でつくられる毒素・アセトアルデヒドの生成もおさえるため、 悪酔いや二日酔いを防ぐ効果 があるそうだ。（ウィキペディアより）


しかし、二日酔いにいいのは分かったが、 それでもビンからラッパ飲みは豪快過ぎるんじゃないか、マタキチ。 いや、隣に「いろはす」があるから、あれと交互に飲めば胃の中で薄められてちょうどよくなるのか…

いや、そう言えば確かテレビ朝日系列の深夜番組 『お願い！ランキング！』 でやっていたが、 「ちょい足しクッキング」という、 食品に何かをチョイ足しすることで劇的に美味しくなるというコーナーで、 常に上位にいたのが ごま油 だった！


なんにでも使える魔法の調味料・ごま油！


つまりこれは、マタキチがドラフト指名記者会見でテーブルにごま油を置いた理由は、 「どんな料理にでも合うごま油のように、 僕はどんな場面で投げても結果を出せる投手です！」 というマタキチの熱い自己主張だったのだ！




そして、ルーキーながらマタキチは開幕一軍入りを果たす。




勝っていても負けていても、右でも左でも、 連投でも３連投でも、 どんな場面でもマタキチはただひらすら投げ続けた！

チームの台所事情が厳しい中、
「あら、今日は冷蔵庫に余りものの食材しかないわ」（モリシゲ）
「適当に料理を作って、仕上げにごま油を入れれば何とかなるわよ」（タニシゲ）
といった塩梅に、 どんな料理にもフル回転で家庭を助けたのである！




そんな「投げるごま油」ことマタキチ の負担を少しでも減らそうと、 モリシゲ＆タニシゲは 「マタキチはなるべく勝ちパタンで使う」 と、最近はリードした場面での投入に限定していた。

しかしこの日は、 ビャースターズ相手に１点リードを許したまま９回に突入。 最終回の攻撃に望みをつなげるため、 これ以上点を取られるわけにはいかない！

「マタキチ、頼むぞ！」

「任せてください！」

そしてマタキチは気合いを前面に出したピッチングで、 ９回の敵の攻撃をピシャリと（だいたい）抑えたのである！



そんなマタキチの気合いがナインにも乗り移った！

１点を追うずんどらごは先頭のオーシマがライト前ヒットで塁に出ると

（略）

４番・ヒラタのサヨナラタイムリー で逆転勝ちしたのだった！！（随分途中経過はしょったな！） （とにかく逆転したのだ！）






試合のウイニング・ボールをいつの間にか相手キャッチャーから奪い取っていたタニシゲ監督は、 それを今日のヒーローであるサヨナラタイムリーのヒラタに渡した。 ヒラタは、ボールをマタキチへと手渡した。




お立ち台に立ったマタキチは言う。

「（サヨナラのときは）頭が真っ白になりました。前回打たれたのに、またこんな場面で使ってもらって、 初勝利までいただいて、胸がいっぱいです」

マタキチにとっては勝利とは「奪うもの」ではなく「いただくもの」。

食事をする前に「いただきます」と手を合わせるように、 天性の料理人、 人間ごま油 たるマタキチは、これからも勝利をいただき続ける！