落合GM就任挨拶

(2013年10月11日)


佐々木球団社長「 連日の取材、ご苦労さまです。 我がドラゴンズ、七十七年の歴史で、初めて、 ジェネラル・マネージャー制度を導入することに致しました。 皆さん方ご案内の通りです。 そして、その任についていただく方が、隣の、落合博満さんです。 今更、皆さん方に、ご紹介する必要はございません。よくご存知の方です。 新しい制度です。素晴しい、過去に実績を持たれ、 野球理論に精通されておる方の就任です。皆さん方のご支援、ご指導、 切にお願い申し上げまして、まくらのご挨拶にかえさせていただきます。 何ぶん宜しくお願いします」


(落合、立ち上がって一礼)えー、座らしていただきます。 えー、このたびあの、白井オーナーの方から、GMやれっていう事で、 まあ谷繁新監督をどうやってバックアップするか、という事で、 チームを何とか強くしなきゃいけない、だからちょっと、 何とか一肌脱げ、手伝えっていうことで、まあ一応、 引き受けることになりました。

まあ…二年ぶりって言えば二年ぶりなんですけども、 これから、どういう風にしていくかっていうのは、 新監督と話しながらね、 バックアップしていけりゃあいいのかなって風には考えてます。

で、現場は、全て監督に任して、もう、GMイコール、 表に出ることってのは殆どないと思います。 あくまでも、谷繁率いる中日ドラゴンズってことを前面に出して戦って行かなきゃいけないんでね、 で、その都度、 監督の欲しい、何かをしてくれっていうその、 要望にどうやってこっちが応えてやれることが出来るのかっていう、 ことなんだろうと思います

でもこの仕事を引き受ける以上は、あの、いくら現場が頑張っても、 それを戦力イコール、それを作れなかったってときには、 すべて私のところに責任が来るっていう、ことなんでね。 まあそういう意味でも、谷繁には、まあ最初の二年間ってのは、 あくまでも野村さんの、 出場記録、これを破ってくれるまでは、プレイングマネージャーとして、 もう周りで、みんなで、あのー、補佐して行こう、っていう、 そういう体制で出発しますんで、まあ三年後っていう風になれば、 監督が自ら、どういう組織を作って、どういう野球をやりたい、っていうのはまた、 あらたに、鮮明に打ち出されるんだろうと思います。そういう意味で、 皆さん一番知りたがってるのは、 何年の契約ですか、 って事なんでしょうけども最低四年ってのは考えてますから。 あとは五年目以降っていうのは、 彼の手腕にかかっていると思います。 あとは随時、何か質問があれば受けます。


記者「二年ぶりに中日ドラゴンズの一員に加わることになりましたけども 今の率直な気持ちはどんなでしょうか」

えー、まあ、何をしていいのか、 で、どういう方向で、物事を進めて行くのかっていうのは、 経験ありませんから。で、野球はどうしたらいいかってのは、もうねえ、まあ三十五年間、 この世界で生きて来てはいますけども、 この仕事ってのは初めてなんでね、まあいろんな人の知恵を借りながら、 いいものはいい、悪いものは悪い、それを、 方向性を間違わないように、進めて行きたいなとは思います。


記者「 球団として初めてのこのゼネラルマネージャーという制度という話が今ありましたけども、 この役割、というのはどなたの発案でしょうか?」

えー、あの新聞紙上で出てましたけども、 あの、どうやっても私ら契約社会で生きて来ましたから、 サラリーマンになるわけにはいかないんですよね。 えー、自分の会社も三十年以上続けて、あの、切り盛りして来てますから、 個人的にどうこう動ける、っていう風になってしまうと、 身動き取れなくなるんですね。 で、お互いに、何かいい知恵はないものなのかな、 っていうことで、まあ、 オーナーと話、しながら、まあ最悪、 こういうことしかないんじゃないのかなっていう、 それを投げかけて、じゃあ相談して来ますっていう、 まあ内輪話するとそういう事なんだろうと思います。 まあそれだけオーナーが、 もう一回、何とかせえよっていう、とっからの、発想だと思います。


記者「当初はオーナーからは、監督にという話だったんですか?」

いや、それはありません。 ハナっから、その話来たとしても、あの、受けてないと思います。


記者「そうしますと、二人の話し合いの中からこのゼネラルマネージャという…」

えー、落としどころがそれしかなかったんだろうと思います。 谷繁をバックアップ出来る人間が要る、っていう風に、誰がいるんだ、 っていうことで、考えたときには、まあ相当の覚悟、がいて、 ある程度野球の知識があって、まあ防波堤になれる人間っていうのは、 野球界にはそういるわけじゃないだろうし。


記者「谷繁選手を兼任監督にという話は、 これは落合さんの方からの提案だったんですか、そうではないんですか」

たとえばこれを監督って風に持ってったら、彼は受けてないでしょう。 これは現役のときからずっと、八年間、彼と接して来てますけども、 第一目標は、その個人的にね、の目標は、何とか、見えてきた野村さんの、 数字を抜きたいっていうのは、 まあそれがあの、現役選手・谷繁ってものを、 動かしていった原動力だと思うんでね、 それを、捨ててまで監督っていう職は、 受けてないんじゃないかなっていう風に、思ってます。


記者「そうしますと谷繁監督を誕生させるための、 形として、落合ゼネラルマネージャー?」

…え? それはちょっと発想が違うと思います。 あくまでも、谷繁を監督にするってとっからの始まりですから。 これに関して言うと。 そこを誤解のないようにしてください。


記者「八年間の落合さんの監督経験の中で、 このゼネラルマネージャーという制度があれば、よかったのになと思うような実感というものはありましたか」

いや、私にはありません。 えー、それなりにあの、白井オーナーにしても、西川球団社長にしても、 私をバックアップしてくれましたから。 だから今度は、谷繁を、監督としてバックアップをするのが、 白井オーナーであり、佐々木社長であり、 そこにもう一枚落合って人間が加わったんだ、っていう風に私は理解してます。


記者 「具体的に一番サポートして行きたいってのはどういう事でしょうか?」

これから考えます。 …まだ、ここに来て一時間ですから(笑い)。話はまだ進んでないんです。 いまその話の途中ですから。 えー、これからやるべきことってのが段々見えてきて、 それを実行していくっていう、そういう段階にうつると思うんで、 今この場で、申し上げるってことっていうのは、ちょっと軽はずみになるのかな、 っていうんで、ちょっと控えさしていただきます。


記者「落合さんが離れられていたこの二年間の中日ドラゴンズ、 外からはどうご覧になってましたか」

えー、いろんな情報が入って来るんですけども、ほとんど私は野球、見てません。 えー、なるだけ、邪魔しないように。 前にいた人間がちょろちょろちょろちょろすると、 現場ってのはやり辛いもんですから。極力、野球は見ないように、 ということを心がけながら、 やってきたんで。まあ中日ドラゴンズがどうの、 セリーグがどうのパリーグはどうのってのは、 私の中には、この二年間はありませんでした。


記者「客観的な事実として、 Bクラスに転落してしまったという状況がありますが、 そこはどうご覧になってます」

えー、八年間でやってきたこと、その、積み重ね、 私らやってるときにどうやったら強くなるのかな、 ということを考えて出した一つの結論っていうのが、 練習をしなきゃ選手は上手くならないんだ体力はつかないんだっていう、 この、基本線っていうものがこの二年間、あったのかどうか。 で、まあ谷繁監督がね、これからそのへんをどうやって、 自分たちで考えて行くのかっていうのは、そこは、 新監督の手腕にかかっていると思います。


記者「先ほどもお話にあったように谷繁兼任監督というのは記録の面で、 選手としての記録がありますけれども、 ベンチの中で監督業もやりながら、選手もやるのは難しいなあとは思いますが、 具体的な人事のサポートとかはどう考えてますか」

ああ、それは、仕事柄、こちらである程度のものは、 決めて、 それで、一応こういうメンバーでどうだっていうことは、話をして、 当然、新監督としても、入れたいメンバーはいるはずだし、 そのへんを摺り合わせながら、 やっていかなきゃいけないんだろなとは思います。 まだその人事に関してはまだ何も決まってません。


記者 「監督経験者として、その、采配をふるいながらプレーをする、ってのは 大変な負担だと思いますけども」

うん、逆に面白いんじゃないですか。この野球界、 そんなに、それを経験した人はいないわけですから、 やりがいのある仕事なんだろうと思います。


記者「谷繁新監督とは、お話はされましたか」

ほとんどしてません(笑い)。


記者「ほとんどと仰いますと、少しは?」

それは世の中には電話っていう便利なものがありますから。 皆さんはよくご存知でしょうけど。 いろんな情報は出たみたいですけども、 みなさんの情報ってのは全て、間違ってると思います。


記者「…情報が間違っているというのは」

いや、新聞紙上マスコミ等々でいろんな情報が流れてたわけでしょ? そういうことは一切ありません。


記者「少しだけした、谷繁さんとのお話を教えていただけますか」

いやあ、ここで言えるような話ってのはありません。


記者 「これからGMとして、どんなチームを作って行きたいでしょうか」

いや、優勝するチームを作らなきゃ、やる意味がないでしょう。 勝負事ってそういう事です。


記者 「この就任一年目からもう狙えるチームを、ということでしょうか」

それをしなかったら、野球選手、野球をやっちゃいけないんじゃないですか。 全部優勝したいと思ってやるわけですから。