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大会5日目


新潟タレかつ丼 vs 焼き小龍包
(1回戦)

新潟
日本文理
(私立日本文理高等学校)
【所在地】新潟県新潟市


薄手のトンカツを醤油ベースの甘辛いタレに潜らせて、丼飯の上に乗せる。 それが新潟タレかつ丼だ。

そのルーツは昭和初期、 当時屋台だった『とんかつ太郎』の初代店主がカツに合う醤油ダレを開発、 その弟子たちが独立し、いまや新潟で「カツ丼」といえば「タレカツ丼」を指すまでに広まった。
『とんかつ太郎』は現在も健在で、 衣と肉が離れることなく一体化し、肩肉を使い独特の歯ごたえを出し、 タレだけでなく肉や衣にも一層の工夫を凝らしている事がよく分かる。

新潟っ子たちは知っている。 タレカツに必要なのは創意工夫とていねいな仕事、それは 野球にカツ のも同じことだと。
【主なOB】 横山龍之介(神)
西東京
日大三
(私立日本大学第三高等学校)
【所在地】東京都町田市
町田仲見世商店街にずらりと並ぶのは、『小揚生煎館』の 焼き小龍包 の行列だ。

たっぷりの油を流し込んだ大きな鉄鍋で70個前後を一気に焼き上げる。 小龍包は蒸して作るが、焼き小龍包は焼いて作るのだ。 丸かじりなどしようものなら煮えたぎる肉汁がすごい勢いで噴出、周囲の人を巻き込む大事故になるので、 熱々の小龍包の分厚い皮に箸でチョコンと穴をあけ、レンゲにスープをそそぐ。 ハフハフと冷ましながらスープを飲み、それから皮と餡をいただくのがもっとも安全で 死者の出ない食べ方だ。

日大三高ナインも分厚い胸板の奥には煮えたぎる熱いハートを秘めている。 迂闊にかぶりつくと、大火傷をくらうぞ。


【主なOB】 荒木郁也(神)、近藤一樹(オ)
【勝敗予想】

新潟でカツ丼といえばタレカツ丼だそうだが、店によってメニュー表記が「カツ丼」だったり「タレカツ丼」だったりバラバラだそうだ。 何故なら、「カツ丼」表記では全国の人に分かってもらえないから、新潟の方で「折れた」のである。 果たして、こんな気持ちがバラバラで、甲子園で勝利などできるのだろうか。 カツ丼ならカツ丼、タレカツ丼ならタレカツ丼と、みんなの方向性が一体でなければ全国は厳しい。 (ちなみに元祖の『とんかつ太郎』は「カツ丼」表記だそうだ)

◎焼き小龍包
○タレカツ丼



出雲そば vs いちご焼きそば
(1回戦)

島根
開星
(私立開星高等学校)
【所在地】島根県松江市


松江名物の出雲そばは色黒の麺が特徴だ。 黒は玄そばの挽きぐるみのそば粉の色で、栄養を多く含んでいる。

そば好きの松江の殿様は 「少し辛めのつゆをつけてよく噛んで噛んで食え」 と言ったということで、松江ではそばはよく噛んで食べることが作法となっている。 松川警部なら「蕎麦はのどごしを楽しむもんよ!」と噛まずに飲み込みそうだが、 そんなことをしたら小林一茶から 「蕎麦の花、江戸のやつらが何知って」 と一句詠まれてしまうぞ。

開星野球もにせっかちに一気に片付けるのではなく、ゆっくり、じっくり。 来ると思ってもなかなか来ない、 「そば屋の出前野球」で敵味方をじらす。
【主なOB】 杉原洋(横)、梶谷隆幸(横)
山口
柳井学園
(私立柳井学園高等学校)
【所在地】山口県柳井市
B級グルメ市場に殴りこみをかける柳井市がお隣の周防大島町と共同開発した仰天メニューが いちご焼きそば だ。

万人に好まれる焼きそばをベースに、 山口名産のいちごを組み合わせるという思い切った勝負手。 もう見た目に明らかにおかしいが、人は見かけによらないように、食べ物も見かけによらないもの。 この異常な組み合わせが今までにない新しい味をかもし出しているというのだ。
俺たちが出来ないことを平然とやってのける! そこにシビれる憧れるぅ!

とんでもないことをやってのけるには、 とんでもない発想が必要なのだ。 この夏、柳井学園野球部がとんでもない!


【主なOB】 特になし
【勝敗予想】

心の中の理性と、背中に張りついてる守護霊様がどれだけ俺を引き留めようと、 ここで…いちご焼きそばを…選ばないのは…ギャンブラーではないッ!

◎いちご焼きそば
○出雲そば



松風 vs 白エビバーガー
(2回戦)

京都
龍谷大平安
(私立龍谷大学付属平安高等学校)
【所在地】京都府京都市下京区


京都の和菓子、松風は一言でいえば“和風カステラ”なのだが、 卵も油も入っていない。麦粉あるいは小麦粉+米粉を使用しているが粉っぽさはなく、 ムッチリとした独特の美味しさがある。

司馬遼太郎の時代小説『燃えよ剣』にも登場する松風は、 戦国時代に兵士の兵糧として用いられた。 下京区でこれが作られたのは、この地に “戦国最強の坊主軍団” を抱える西本願寺があるからである。

戦国時代、最強といわれ信長さえも怖れさせた西本願寺の僧兵軍団。 その“戦闘民族の血”を受け継いだ竜谷大平安ナインは、 ふところに『松風』をしのばせ、 甲子園に戦乱の世を再現させる。
【主なOB】 小島弘務(中日OB)、 桧山進次郎(神)、岸本秀樹(広)、赤松真人(広)、今浪隆博(日)、炭谷銀仁朗(埼)
富山
新湊
(富山県立新湊高等学校)
【所在地】富山県射水市
“富山湾の宝石”と呼ばれる白エビの漁場があるのは、国内でここ新湊だけである。 そのため、白えび天丼・白えびのむき身・白えびせんべい・白えびうどんなど多くの商品が開発され、 みちの駅・カモンパーク新湊では 白エビバーガー が大ヒット商品となっている。

白エビは足が早く(=鮮度が落ちるのが早く)、漁船が港に戻ると同時にその場でセリが行われる。 新鮮な白エビは市場では手に入らないので、港で直接買うしかない。 東京・築地で売られる白エビは冷凍加工されたものだ。 それほど白エビは足が早いのだ。

足が早い白エビで有名な新湊だけに、新港ナインも選りすぐりの韋駄天揃いだ。 足を使った機動力野球で相手チームをかき回すぞ。


【主なOB】 西野勇士(千育)
【勝敗予想】

時代を見つめてきた戦国の和菓子と日本にここだけしかいない“富山湾の宝石”。 今大会屈指の好カードだが、やはり白エビの魔力には勝てない。 戦国和菓子を食べてタイムスリップ気分を味わいたい自分もいるが、 下京区には京都タワーがあるので情緒もへったくれもないだろう。(京都タワーdis)

◎白エビバーガー
○松風