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山田時代

山崎、マッチポンプFA宣言 2001年

山田久志
F A権利を取得した山崎武司がこのオフ、FA宣言した。


 これまで中日では落合博満、前田幸長がFA宣言してるけど、 いずれもよそから移籍で来た選手。チーム生え抜きでは山崎が初めてだ。

野村監督に教わったこと
山崎武司 『野村監督に教わったこと』 p.115より
 FA宣言する選手の中には、
 「自分にどれくらいの値段がつくのか? 自分の価値はそれくらいかを見定めるために宣言した」
 と値踏みをされたい人もいますが、僕は単純に、
 「うちには山崎の力が必要だよ」
 と言ってくれるチームに行きたかっただけでした。
 「期待されて野球をやることが、現役生活最後の務めだ」
 と思っていたのです。 ドラゴンズでは期待されてると思えませんでしたから、 どこか取ってくれる環境があれば環境を変えてプレーしようと思ったのです。

 今だから言えることですが、ドラゴンズとの話し合いの中で、ある球団幹部から、
 「おまえになんか値がつかないよ。FAしたって紙切れにもならないんじゃないか?」
 と、屈辱的なセリフを吐かれたこともありました。 僕も売り言葉に買い言葉ではありませんが、
 「じゃあ、出て行ってやるよ。FA宣言するよ」
 という心境になったのも事実です。

 まあ 中日のフロントは、 選手に「期待されてると思わせない」のは得意 だよね。 実際に期待してるかしてないかは別にして。

 提示条件は至極真っ当なものでも、 それに余計なひと言、ふた言を付け加え、選手のやる気をなくさせる。 契約更改で保留した選手が記者会見の席上、 涙目で球団批判してるのを見るといつもそう思うよね。

 さて、「ドラゴンズでは期待されてると思えない」と思ったという山崎のここ二年の成績は以下の通り。

山崎の01-02年打撃成績
山崎成績

 この成績でそんなことを思っていたのか。 青コアラ
金コアラ  仮に「山崎」の部分を「打率.238の選手」に変えてみよう。

・「うちには山崎の力が必要だよ」
    ↓
・「うちには打率.238の選手の力が必要だよ」
 …必要か、と聞かれたら、必要でないな。 青コアラ
金コアラ  「どれだけ実績をあげたか」じゃなく「どれだけ期待してるか」 で給料をあげなきゃいけないのなら、 ルーキーは全員一億円プレーヤーだな。

 こうして 子供のケンカ でFA宣言した山崎には、横浜が手を挙げた。
 中日の提示した三年・四億五千万に対し、横浜の提示は三年・七億。 これを受けて中日はマネーゲームを開始、 出来高一億五千万を上乗せした。

 それでも中日の条件は三年・六億。まだ横浜の方が優位だった。
 しかし山崎は、最終的に中日残留を決断する。
 残留記者会見で山崎は、

  「お金だけなら横浜でした。でも、名古屋にはお金では買えないものがあるんです」

 とコメントしたんだ。

 ドラゴンズでは必要とされてない(と本人が感じた)山崎が残ったのには、 実は、新監督・山田久志の説得があった。

野村監督に教わったこと
山崎武司 『野村監督に教わったこと』 p.116より
 僕はFA宣言しつつも、ドラゴンズの秋季キャンプには参加していました。 キャンプでは山田さんと話し合う機会もありました。 山田さんとはいろんな話をしましたが、
 「来季はお前の力が必要なんだ。一緒にやってくれないか?」
 と説得されたんです。

 名古屋は地元で両親もいますし、応援してくれる友人、知人も多い。 ドラゴンズという球団にはずっとお世話になっていて、 会社そのものにはなんの不満もない。 ドラゴンズで気持ちよく野球をやれて恩返しできれば、それが最良でした。
 いろんなことを勘案して、
 「そこまで言ってくださるなら、ドラゴンズでやりましょう。 山田さんのためにがんばります」
 という最終的な結論を出しました。

 売り言葉に買い言葉でFA宣言して、監督に優しい言葉をかけられてコロリと撤回。

 本当、 反抗期のこども は扱いが難しいね。

 なんにしても山崎は、フロントには少々の不満があるものの、 「俺は山田監督に必要とされている」 という思いで中日残留を決めたんだ。


FA選手欲しい欲しいランキング
1位/読売/12人
1993落合博満 中日
1994広沢克己 東京
1994川口和久 広島
1995河野博文 北海道
1996清原和博 埼玉
1999工藤公康 福岡
1999江藤智  広島
2001前田幸長 中日
2005豊田清  埼玉
2005野口茂樹 中日
2006小笠原道大 北海道
2006門倉健  横浜
2位/福岡/7人
1993松永浩美 阪神
1994工藤公康 埼玉
1994石毛宏典 埼玉
1996田村藤夫 千葉
1997山崎慎太郎 近鉄
2004大村直之 近鉄
2006小久保裕紀 読売
3位/阪神/6人
1993石嶺和彦 オリ
1994山沖之彦 オリ
1999星野伸之 オリ
2001片岡篤史 北海道
2002金本知憲 広島
2007新井貴浩 広島
4位/中日/5人
1994金村義明 近鉄
1998武田一浩 福岡
2000川崎憲次郎 東京
2001谷繁元信 横浜
2007和田一浩 埼玉
5位/横浜/3人
1993駒田徳広 読売
2002若田部健一 福岡
2008野口寿浩 阪神
6位/埼玉西武/2人
1997中嶋聡  オリ
2007石井一久 東京
7位/千葉/1人
1995仲田幸司 阪神
7位/大阪近鉄/1人
2001加藤伸一 オリ
7位/オリックス/1人
2003村松有人 福岡
7位/北海道/1人
2004稲葉篤紀 東京
7位/東京ヤクルト/1人
2008相川亮二 横浜
7位/東北楽天/1人
2008中村紀洋 中日
13位/広島東洋/0人

もうこんな球団出たいランキング
1位/オリックス/7人
1993石嶺和彦 阪神
1994山沖之彦 阪神
1997中嶋聡  埼玉
1998木田優夫 MLB
1999星野伸之 阪神
2001加藤伸一 近鉄
2001田口壮  MLB
2位/中日/6人
1993落合博満 読売
2001前田幸長 読売
2005野口茂樹 読売
2007福留孝介 MLB
2008川上憲伸 MLB
2008中村紀洋 東北
2位/広島東洋/6人
1994川口和久 読売
1999江藤智  読売
2002金本知憲 阪神
2007黒田博樹 MLB
2007新井貴浩 阪神
2008高橋建  MLB
2位/埼玉西武/6人
1994工藤公康 福岡
1994石毛宏典 福岡
1996清原和博 読売
2003松井稼頭央 MLB
2005豊田清  読売
2007和田一浩 中日
2位/東京ヤクルト/6人
1994広沢克己 読売
1997吉井理人 MLB
2000川崎憲次郎 中日
2003高津臣吾 MLB
2004稲葉篤紀 北海道
2007石井一久 埼玉
6位/阪神/5人
1993松永浩美 福岡
1995仲田幸司 千葉
2000新庄剛志 MLB
2004藪恵壹  MLB
2008野口寿浩 横浜
6位/福岡/5人
1998武田一浩 中日
1999工藤公康 読売
2002若田部健一 横浜
2003村松有人 オリ
2005城島健司 MLB
6位/横浜/5人
1999佐々木主浩 MLB
2001小宮山悟 MLB
2001谷繁元信 中日
2006門倉健  読売
2008相川亮二 東京
9位/読売/4人
1993駒田徳広 横浜
2002松井秀喜 MLB
2006小久保裕紀 福岡
2008上原浩治 MLB
9位/北海道/4人
1995河野博文 読売
2001片岡篤史 阪神
2006岡島秀樹 MLB
2006小笠原道大 読売
11位/大阪近鉄/3人
1994金村義明 中日
1997山崎慎太郎 福岡
2004大村直之 福岡
11位/千葉ロッテ/3人
1996田村藤夫 福岡
2007小林雅英 MLB
2007薮田安彦 MLB
13位/東北楽天/3人
2007福盛和男 MLB


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