前へ 次へ 目次へ ホーム
高木時代

刀折れ、矢尽きる 1994年

高木守道
落 合の抜けた一九九四年、高木守道三年目のシーズン。


 中日は独走する読売に大きく水を開けられ、七月には首位との差は十・五ゲームになっていた。

 「やっぱり落合がいないとダメか…」という空気が流れ、 八月に直接対決で三タテをくらい読売の優勝マジック二十五が点灯すると、 高木監督は

 「刀折れ、矢、尽きた」

 と事実上の“終戦宣言”をし、今シーズン限りの辞任を発表したんだ。


 八月なのに指揮官が白旗を揚げた。

 中日はここからずるずると八連敗し、

 もう今シーズンはおしまい

 来季へ向けて調整をしよう

 怪我をしないように

 疲れを残さないように

 体を休ませながら

 気分はもう来年……




さあ逆転すっぞ!


 監督があきらめてもファンはあきらめない。選手はあきらめない。
 全世界の中日ファンの「ぜったい逆転優勝するぞ!」という思いは一つになり、 首位を走っていた読売に負け光線を放射し八連敗させると、 中日は破竹の七連勝で一気に差を詰めた!!

 そして百二十五試合目、ついに中日と読売は「同率首位」で並んだんだ。


1994年
ベストオーダー
1994年ベストオーダー

人物紹介
ジェームズ
ジェームズ
(1994)
 前年はヤンキースで.332の好成績を残したが、 「スタメンで野球がやりたい」 と日本へやって来た。 来日直後のインタビューでは「ヤンキースは日本のドラゴンズと繋がりがあり、 俺もドラゴンズへ行きたいとずっと思っていた。 でも球団は毎年違う選手を派遣していて、今回ようやくチャンスが回ってきた」 と語っており、誰かに騙されていたんじゃないかと思われる。


ドアラ一号・二号
ドアラ一号・二号
(1994−1996)
 ナゴヤ球場に捨てられていたところを拾われた双子のコアラ。 口癖は「早く人間になりたい〜」で、 一匹は本当に人間になり今はプロ野球選手をやっている。

ヘンリー
ヘンリー
(1994)
 中日退団後は映画評論家になり、水野晴男を名乗った。

エリオット
エリオット
 打撃不審でヤンキースから日本のドラゴンズにトレードされた。 来日当初は日本の風習に戸惑っていたが、 監督の高倉健の熱心な指導で日本野球に適合する 映画『ミスターベースボール』の主人公。 …ハッ!ジェームズが言ってた 「ヤンキースは日本のドラゴンズと繋がりがあり、 選手を派遣している」とはこれか!?




前へ 次へ 目次へ ホーム