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新しい歴史
小刻みの朝倉
七月十六日(木)●阪神―○中日

朝倉 今 日は朝倉のバツグンの安定感について語ろう。


 いや、ここでここを読んでる三億二千万読者から 「朝倉の…安定感…だと?」 というツッコミは聞こえた。 振動で机が揺れてPCがズレるくらい聞こえた。 聞こえたが、無視して話を進める。

 朝倉健太。
 七月十五日現在、十四試合に登板してまだ五勝。 次世代エース候補と期待されている割には 吉見・川井の九勝と比べ、何とも物足りない数字だ。

 ファンも今季の朝倉には正直、「朝倉=出ると打たれる」「七回持たず途中降板」「見た目がサル」 という印象があるのではないか。
…いや、見た目とかは…今季に限った話では… 青コアラ
金コアラ 実際、「先発・朝倉」のコールを聞くと半分負けを覚悟するな。

 しかし、「十四試合に登板して五勝四敗」なら、 勝ち負けのつかなかった試合のチーム成績はどうなのかというと、 なんと 五試合で四勝一敗、勝率八割 なのである。

 つまり、朝倉は KOされ降板した試合でも、「降板後にチームが勝つ」 ケースが実に多いのだ。

チェン&小笠原

 「朝倉=出ると打たれる」「七回持たず途中降板」「見た目がサル」というのは事実としても、 ではチームが負けてるかというと、不思議に勝っているのである。
 トータル十四試合で九勝五敗。 朝倉が先発した日の勝率は、ドラゴンズのチーム勝率より高い のだ。(七月十五日現在、 朝倉の先発勝率=六割四分三厘、ドラゴンズのチーム勝率=五割六分四厘)

☆   ☆   ☆   ☆

 では朝倉が投げるときはどうしてチームの勝率がいいのか?
 その理由を、スコアボードから検証してみる。

 以下は朝倉が登板した試合で、「朝倉が投げたイニング(途中降板含む)」のスコアボードだ。

朝倉のイニング失点
日付 対戦 勝敗 1 2 3 4 5 6 7 8 9 
4月07日 東京ヤクルト 0 1 0 1 1 0 0    
4月15日 阪神 0 1 1 0 0 0      
4月21日 阪神 1 0 0 0 0 0 0 0  
4月28日 東京ヤクルト 0 1 0 0 1 0 0 2  
5月05日 広島東洋 1 1 0 0 0 0 0 0  
5月12日 東京ヤクルト 0 0 0 0 2 1 0    
5月19日 埼玉西武 0 1 1 1 0 0 1    
5月25日 北海道 0 0 2 0 0 0 0    
6月02日 オリックス 0 0 0 5 0 0      
6月08日 埼玉西武 0 0 0 0 0 4      
6月16日 福岡 1 1 0 0 0 0 1    
6月26日 広島東洋 0 0 0 0 0 1 1    
7月02日 阪神 0 0 0 1 0 0 1    
7月09日 東京ヤクルト 2 0 0 0 2 4      
7月16日 阪神 1 2 0 1 0        


 このことから分かるのは、朝倉は 一イニングの失点数が非常に少ない ということだ。

 たとえばあるゲームで三失点したとする。 そのときでも、三点いっぺんに奪われるのではなく、 一失点ずつ三イニングに分けるなど 小刻みに失点 して、いわゆる“ビッグ・イニング”というもの作らせない。
 なんと一失点が二十四イニング、二失点が六イニングに対し、 三点以上の失点は三イニングしかない。 大きな失点をしないから試合が壊れないのだ。

 言ってみれば、朝倉は 毎日ボヤばかり出し続ける放火犯 のようなもので、年に数回、江戸中を火の海にするような大火事を出すやつと比べ、 被害がきわめて小さい、 すぐに消火できる程度の小さなボヤしか出さない小悪党と言える。 (その代わり、定期的に必ずボヤを出す)

朝倉

 一イニングに三点も四点も取られると、 攻撃陣は熱くなってしまいバッティングが雑になりがちだ。 だが朝倉のように一点と二点と小刻みに取られると、 「丁寧に一点を取りに行こう」と冷静になれるし、朝倉の場合、 何イニングかごとに確実に失点するのが分かってる ので、追いついても追い抜いても決して油断しない、 緊張感の中でプレーでき、結果、集中力を持続して逆転につながるのだ。

 小刻みな失点には、小刻みな援護点があるのである。

で、つまり何が言いたいんだ? 青コアラ
金コアラ 「先発・朝倉」って聞くと試合前から負けた気分になるが、 意外と勝ってるよって話だな。


  1 2 3 4 5 6 7 8 9   R
中日  
阪神  
【阪神】 ●久保田→桟原→江草→ウィリアムス→アッチソン→渡辺
【中日】 ○朝倉→高橋聡→河原→パヤノ→浅尾→S岩瀬
【本塁打】



今日のヒーロー

たいへんよくできました
朝倉健太
朝倉健太
(あさくら・けんた)
 いつものように小刻みな失点で試合に緊張感を作り、六勝目をマーク。

たいへんよくできました
ブランコ
ブランコ
 一回に先制タイムリーツーベース。

たいへんよくできました
井端弘和
井端弘和
(いばた・ひろかず)
 二回に同点タイムリーツーベース。

たいへんよくできました
和田一浩
和田一浩
(わだ・かずひろ)
 三回に同点の犠牲フライ。

たいへんよくできました
英智
英智
(ひでのり)
 三回に勝ち越しタイムリーヒット、七回にダメ押しタイムリー内野ゴロ。

たいへんよくできました
森野将彦
森野将彦
(もりの・まさひこ)
 四回に突き放す犠牲フライ。

たいへんよくできました
高橋聡文
高橋聡文
(たかはし・あきふみ)
 六回から打者三人をパーフェクト・リリーフ。

たいへんよくできました
河原純一
河原純一
(かわはら・じゅんいち)
 七回から打者二人をパーフェクト・リリーフ。

たいへんよくできました
パヤノ
パヤノ
 七回二死から打者一人をパーフェクト・リリーフ。

たいへんよくできました
浅尾拓也
浅尾拓也
(あさお・たくや)
 朝倉がだらしなくて今日も投げさせてゴメンね。

たいへんよくできました
岩瀬仁紀
岩瀬仁紀
(いわせ・ひとき)
 九回、打者三人をパーフェクト・クローズ。


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